14話
一日目というのは大概が、本校の説明に使われる。それは音駒に見学に来た時に聞いている内容もあったが知らない内容もあったため聞いていて実に眠たかった。いや、当たり前だろう。つまらない説明を聞いて眠たくないと思う方が不思議だ。現に、クラスの男子一人が寝ており、田中先生に叩き起されていた。
「ふわッ……く」
「ぷっ。眠いの?#name2#ちゃん」
「眠くないの?」
「眠いね」
あくびが出た私を笑いながら出してくれたのはハッカ飴。眠気覚しにどうぞと手渡されたのだ。田中先生までは距離があるし噛み砕いたりしなければバレたりなんてしないだろう。静かに袋をあけて口に白い飴を入れる。辛くて涙が出そうだったが、おかげで眠気は取れた。途中中間休憩が入って梨花と話しをする。内容は眠いだのつまらないだの暇だの。そんなものだ。
「あ、ねえねえ」
「ん?」
「#name2#ちゃんはさ、就寝の時誰かの部屋行くの?」
渡されたペットボトルのキャップを外して飲む。喉を通っていくのその感覚が気持ちよくてもう一度口に含む。それから、梨花の言ったことを考えた。
「うーん、特に。梨花は?」
「私は部屋にいようかなぁ」
「じゃあ私もいるよ」
「ぇえ!ダメ。行ってきなよ」
何だか梨花の態度がよそよそしい。
それが怪しくて肘で彼女の脇をつつく。
「どうしたの、よそよそしい」
「ええっ?そんなことっ」
怪しくなり脇を今度は人差し指でつつく。体をよじって逃れようとするが、涙目で白状した。耐えられなかったらしい。ちなみに私もこしょこしょなるものはどうも苦手で受け付けない。あれを考え出した人はダメだと思うな。
「く、黒尾くんがちょっと」
「鉄朗が何」
「UNOするから、呼べって言ってて」
「へーぇ?それはもちろん梨花も入ってるわけ?」
「そ、そんなわけないよ」
「そんなわけあるぞー。朝比奈、お前も来いよ」
突然暗くなったと思ったら巨人の鉄朗と夜久。道理で暗くなるわけだ。でかいもん。鉄朗が、だけど。夜久も私より大きいけれども。
「私は行かないよ、悪いもん」
「いやいや、梨花も来なって。ね、鉄朗。いいんでしょう?」
「そのつもりで呼んだんだけどな。伝わってなかったか」
前の椅子に反対向きに座り、私の机の上に肘を置く。夜久もその隣に座っており梨花の机の上で腕を組み、その上に顔を載せていた。なんとも可愛らしい図なのだろうか。鉄朗がやればダルそうだが、夜久がやれば可愛らしい。
「じゃあ、そっち行くよ。梨花も連れて」
「おう。いつでも来いよー。鍵は開けとくからよ」
それから休憩は終了。再びつまらない学校説明再開。眠らないように注意をしつつ、梨花と絵しりとりをして遊んでいたのは私と梨花の両隣の長瀬さんと長谷川さんしか知らないだろう。
就寝時間が少し楽しみだと思ったのは休憩後すぐ。