プロローグ
ブロックされたボールを必死でとって
「いっけぇ!」
体張ってボールの下に手を滑り込ませて
「え?」
セッターの所に帰った筈なのに
「何で」
誰もトスを呼ばないんだ
「ねえ」
エースも、何で
「セッター!」
私は空中戦ができない
「エース!」
地上戦要員だから
「レフトもセンターも!どうしてッ」
点数が取れない私は貴方達のために走ってきたのに。手を伸ばしてボールをとってきたのに。
「ボールを呼ばない」
周りから、観客席から、笑われた。
「答えてよ」
逃げるな。前を向け。そう言われたから私はここまで来たのに
「ねぇってば!!!!」
その言葉も偽り
「トスを呼んでよ」
チームも偽り
私の所属していたここは偽りで固められていた偽りのチームであり、私の拠り所でもあったんだ
「……クソッ」
あぁ、1セットも取れなかった。
私の三年間、終わっちゃった。