短編 | ナノ
親愛なる


「……何で、人とは命に限りがあるんでしょうか」


会いたくて


「何で」


名前さんっ


「置いていかれると」


今は君の微笑みが見たいのに。


「寂しいんでしょうか?」


聞こえるんです


《テツくん!》


優しく微笑んでいるんです


「すみません」


《別れても離れても、泣いちゃダメだよ!》


「君との約束」


先に逝ってしまうなんてヒドイじゃないですか。


「破ってしまいそうです」


馬鹿ですか、あなたは。


「名前さんっ、名前っ」


貴方の声も


「呼んで下さい」


顔も、笑顔も、記憶にあるのに


「僕の名前……」


僕の右手


「お願いです」


空いてますよ?


「会いたいです……会いたい」


独りは寂しいですよ、名前さん。嘘だと言ってください……。


「……これ、付けていてくれてますか?」


僕の右手に光るその指輪。あなたの誕生日に僕から送ったもの。


「大好きですっ、大好きだから……」


僕のことを


「伝えたかった……」


忘れないで下さい


「……ずっと愛しています。だから、結婚してください」


伝えられなかった想い、あなたに届いていますか?



空を見上げて涙を流す。
夜空に一筋、星が流れた。
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