大学生活三年目。就活で手一杯になっている人たちを見てきて私はこれで大丈夫なのだろうか、と不安になる時がある。
そしてオジサン改め黒尾さんとの生活は今日でちょうど1週間。なんだかんだ言って、あまり関わりはない。強いて言うならゴミ捨てがあった時は手伝ってあげたりした、まぁそんな仲。別に仲がいいわけじゃなく、話もすればじゃれ合う、そんな仲なわけで。

「いや、結構仲良くね?」
「どーしたの、#name2#」
「いやね、ヒロちゃん。何か隣のオジサンがさ」
「あー、黒尾さん?どうかしたの」
「いや、どうこうじゃなくて、なんかいろいろ振り返ると仲いいのかなって」
「そうなんだ?いいじゃん、#name2#良くしてもらったら」
「うーん、オジサン興味無いしなぁ」

せめて自分がジジ専だったらよかったんだけど。いや、ジジイじゃないけどさあの人。なんて言うのかな、年上の人好きだったら良かったな。そしたらきっと素敵な人なのかもしれない。

「いやないない」
「だからどうした」

だってインスタント男だし、それに部屋くさそうだし。いや失礼なのはわかってるし、こういうことに口を出すのもどうかと思うけどね。忙しそうだから仕方の無いことなのかもしれないけれど。こういうところが大人と、子供の差なのだろうか。必死で働いている大人の大変さが今はまだわからない。

「えー、でも見てみたい気もする」
「あんまり会えないよ。日曜日なら多分会えるかもしれないけど、どうだろう」
「そんな会えないわけ?」
「生活リズムが全然違うからね」

お弁当として入れてきたキウイを口に運びながら自分の持ってきた本に視線を落とす。
悲しいお話だった。年の差の恋で幸せに付き合っていたものの親にバレてしまい、結局反対されて2人は引き裂かれ終わってしまう。
そんな話。
時計を見ると自分の次の授業に時間が近づいていた。急いで残りの果物を口に入れる。

「じゃね」
「んー、がんばれーまた会えたら写メちょうだい」
「あのねー、そんな失礼なことはできませーん」

その日、帰ったら黒尾さんとバッタリ会って少し微妙な気分だった。



ワタシとトモダチ

←backnext→





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -