『いい、皆。力出し切ろうね』


「はい!」


(実渕さん、団体の方もそのチケットで入れますからよければきてください)

実渕さんに昨日送ったメールだ。返ってきたのはぜひ行かせてもらうとのこと。


「姫ー!」


『澪ちゃん』


「姫ー!ごめんねぇえええ!」


さて、私は今怒っていたりする。絶賛怒り中だ。
なぜなら澪ちゃんは副部長なのに時間通りに来ないし携帯は繋がらないしで皆で慌てた。


『澪ちゃん遅い!心配したッ』


携帯は繋がらないしで事故にでもあったんじゃないかと心配した。


「昨日携帯水没させてもうて……渋滞はまってバス動けんくなったし……」


『謝るならみんなに謝りなさい』


「みんなごめんなぁぁああ!」


膝と頭がくっつくんじゃないかというくらい頭を下げた澪ちゃんにみんな笑っていた。


『でもちょっと寝坊したでしょ?』


「え?ちょ、ちょっとな〜」


『もう、澪ちゃんなんて知らない!』


「ひ、姫〜!!」


「まぁまぁ、二人とも」


『悠ちゃん……』


「錦……」


「てめぇら本名で呼びやがれ」


みんなで爆笑した。やはり緊張しててはダメだしリラックスが必要だと思う。


「光ちゃん」


その場には不釣り合いな声。私がよく知っている声。その人は言わずもがなあの人だ。


『実渕さん!』


「来たわよー」


そちらに駆け寄ると何やら澪ちゃんが言ったみたいだけど後で言っておこう。
実渕さんの後ろには二人知らない人がいた。


「今日来れたのは私とこの人達だけなの、ごめんなさいね」


『いえ、全然。来てくださってありがとうございます』


「んーん、あ、紹介するわ。自分でしてね」


「俺は牧野。よろしくな、美女!」


ん?


「私は帆奈美。よろしくね、お人形さん」


んん?
二人はとっても派手だ。
牧野さんは黒がベースなのに所々赤いメッシュが入ってる人。
帆奈美さんはあま化粧をバッチリというわけではないのに、顔がとっても派手。
とりあえず、派手。


実渕さんも結構派手だと思ってたのに……実は地味なほうなのかもしれない。


「もう二人とも!名前教えたでしょ?光ちゃんよ!」


『白銀光です。よろしくおねがいします』


「んもぅ!かぁーいいー!」


むぎゅうー、と抱きつかれる。頬ずりされた。
痛い痛い痛い!
痛いです、そういう前に実渕さんが彼女を引っペがした。


「痛がってるぜ、帆奈美」


「うるさい、マキロンには関係ないデショ。何よー!ヤキモチぃ?だってもち肌だもんネ!女の子の特権ってもんヨ」


今度は頬をつつかれる。この人はボディタッチが激しい人のようだ。実渕さんよりも。


「その名前で呼ぶなよ!でも確かに化粧映えしそうだよな」


「でしょ!きっと真っ赤なルージュが似合うわ」


『実渕さん……ヘルプです。助けてください』


私はここにお化粧とかお肌とかの話をしに来たんじゃない。
コンクールに出るために来たんだ。


「ほら、行くわよ〜」


「え?玲央ー?いひやいいひゃい!」


「マッキー、あんたもよ!」


「玲央、痛っ痛い痛い痛い痛い痛い痛い!ちぎれる折れる!お前力加減下手みぎゃぁぁああ」


「光ちゃん頑張ってね」


牧野さん、帆奈美さん。貴方達の犠牲は無駄にしません。
気を引き締めなきゃいけないね。


『ありがとうございます!』


さて、そう思って振り返ればニタリニタリと笑っている後輩や友達。


「せんぱーい?/姫ー?」


『な、何よ?』


「ついに彼氏できたんやね!」


『だぁぁあ!違うってば!あの人は友達……お母さんみたいな?』


そう返せばええ、と声が上がる。つまらなさげな声だ。
失礼な!


『みんな、気を引き締めていくよ!』


「はい!」


私達は会場の方へと歩いていった。


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