皆の能力が開花している、そう征は言った。それは2年生のいつ頃かは覚えてないけど全中前くらいだったのかな?それとも後?私は試合を見に行くことがなかったからいつ全中があったかはわからないけれど……。
きっとその時から可笑しかったんだ。
青峰くんが練習に来なくなった。来ても偶にって感じ。そう征から聞いていた。全部征から。征からの情報が私の頭に入ってる。
黄瀬くんも来なくなって、緑間くんは練習には出るけど自由でパスもしない自己中心的なプレーになった。
紫原くんと1on1したそうだ。
帰ってきた彼に聞いた。勝った、そう言って自分の部屋に引っ込んでいった彼は……目の色が朝見た時とは違う赤と黄の瞳。
『……だ、れ?』
そうつぶやいた私の声は誰にも届きはしない。
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『……おは、よう』
「髪の毛やってやるから座って」
『う、ん』
きっとあの時私は邪魔な存在なんじゃいか、そう思った。
「ねえ、光」
『何?』
怖かった、少しだけ予想はしていた。でも恐ろしくて、考えたくなくて……
「どうして僕はお前を拾ったんだろう」
それは遠まわしに邪魔だと言われているのだと思った。疑問に思われるほど私は邪魔でしかなかったの?
「気まぐれか」
やめて、痛い。痛いから……やめて。
そう言われたくない、あなたは
ダレ?
私とずっと一緒にいてくれた人はどこに行ったの?私の大切な人はどこ?
『ぃ……っ』
「ああ、悪い。強かった?」
笑い方も話し方も違う。
全部私が知っている人とは違う。でも、同じなの。
リズムが、生活のリズムが。私を起こしに来る時間もランニングのために家を出る時間も何もかも。
違うのは中身?
『…………ど、して』
どこにも行かないと言ったのに、君はどこかへ行ってしまった。私と約束した彼はもうどこにもいない。私の知らない彼になってしまった。
先に約束を破ったのは、君。
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