中学1年生。
入学式はずっとドキドキしていた。
小学校では髪の毛をからかわれていたのでずっと切ってしまおうか悩んでいた。でも、征が切らなくていいっていうから切らなかった。
『せーくんせーくん』
「ん?何?」
『征はやっぱりバスケットはいるの?』
「ああ。そうかな」
『そっか』
バスケの話は征にとってとても楽しそうだった。
私もルール本片手に征と話したし、有名選手のバスケを見たりしていた。
「光もバスケに入らない?マネージャーで」
『うーん……いつまで経っても征といたら自立なんてできないし……』
「!自立なんてしなくてもいいさ。それに自立しなくても光は自分でできるだろう」
『えー、そうかなぁ?でも私、コーラス部入ろうかなって思ってるから基本そっちにいるね。あ、でも助っ人ならできる』
小学校のときも合唱クラブに入っていた。けしてそこは強くはなかったけど楽しそうだった。
私が入った時は何度か優勝もした。
何より歌うとそれを褒めてくれる人が居たから歌が好きになったんだと思う。
「そうか……また聞かせてくれるか?」
『!うん、勿論!』
「お前の歌は綺麗だから」
『ふふ、本当?じゃあ、もっと頑張ろうかな?』
「そうするといい。また聞きたいから」
そう言われると本当に嬉しかった。
入学式、征は新入生代表で壇上の上にたっていた。私は眠たくて舟を漕いでたけど……征が出てきた時だけは目を見開いて聞いていた。
寝ててバレたらきっと怒られると思ったから。
征とは同じクラスで、1年間何もなく、平凡と暮らしていた。ずっとずっと征にくっついて。
バスケの人とも仲良くなった。
『緑間くん』
「何なのだよ」
『その……カバンから出ているものは何ですか?』
「こ、こここここれはおは朝のアイテムなのだよ!!!??」
どれほど恥ずかしいものでもなんとしてでも持ってきた緑間くんとは仲が結構良かった。
「おい、緑間。カバンから紐出てんぞ……しかもレース」
「みっ、見るな!」
「みどちーん、なんでブラジャー持ってんの」
「……緑間」
彼のカバンから覗いていたものでみんなで揶揄ったりしたのが楽しかった。それはそれは緑間くん弄りとして遊び化したものだ。
『だ、大丈夫!それはおは朝のアイテムなんでしょ?』
「しかし緑間。それは……誰のだ?」
『征、それは聞いちゃダメだと思う』
「う、うううううるさいのだよ!」
これが何もなかった平凡な1年生。
とってもとっても楽しかった私の大切な思い出。
****
「ふぅん、楽しかったのね中学1年生。私も懐かしいわ」
『ふふ、そういうものですか?』
「!やっと笑った」
『あー、私だって笑うときは笑います』
そう、私だって楽しければ笑うし、悲しければなく。ちゃんとした感情を持ち合わせているのだからそこまで驚かないで欲しいな。
『でも問題は……2年生からでした』
1年生は本当に平凡だった。でも、やっぱり征の、彼の隣にいたら何かしら言われるのだった。
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