『……は、恥ずかしい』


顔を真っ赤にさせながらそういうのは光だ。まぁ、当たり前なのかもしれない。


「……綺麗だよ?」


家の主に女の使用人が楽しそうにコイツのことを着せ替え人形のように遊んでいた。嫌がっているのが可愛く見えたのは俺だけの秘密だったりする。


「……ここ、乱れてる」


『ぅ……』


髪を直してやるとこそばゆいのか身をよじった。
それに笑うとつられたように光も笑った。やはり綺麗だった。


『へへ、征に髪触られるの好き』


「そう?」


『うん。気持ちいい』


そんなこと言うから悪いんだよ?


『っわ……』


その艶やかな銀の髪にキスを落とした。
長い髪の毛は先が見えないほど長いのに、今日は上に上げられて毛先が見えた。ここに来た当初はバシバシだった髪の毛も綺麗にしてもらった。
でもそれでも膝までにしか切らなかった。それが光の意思だったから。


「綺麗だね、髪の毛」


『そうかな?』


そう言えば心なしかいつも以上に頬を緩ますのだ。それが見たくてついつい言ってしまう。実際、とても綺麗なのだから言うのだが。


「ああ。ほら、行こう?」



手を差し出せば彼女は笑っていうのだ。


『ふふ、征ちゃんだーいすき!』


「その呼び方はやめろ」


そう、幸せそうに笑って腕に彼女が絡みつく。甘え上手な子猫のように撫でてやれば喜び飛びついてくる彼女は動物のようだった。


「全く……可愛いね、お前は」


『何か言った?』


「いや、何でもないよ」


彼女の手を引き歩き出した。


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