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紫原や黄瀬や、黒子でさえも、赤司のことをどこかで特別のように思っていることを青峰は知っていて、それがよく理解できなかった。緑間はどうだろうと目を向けたところで、青峰は黒子のようにあまり人のことを観察するのは得意ではなかったので、緑間がうまくやり過ごしていただけなのかもしれないけれど、やはりよくわからなかった。

「なあ赤司、もう試合しようぜ」

ミーティングがあって練習時間が短くなる時は、青峰は決まって赤司にそう言う。すると黄瀬と黒子は赤司から見えないように喜んで、緑間はいつも静かに一歩下がって全員を見渡す。それから、紫原がすこしだけ嫌な顔をすることも青峰は知っていた。


「峰ちんさー、赤ちんが毎日練習メニュー考えてること知ってる?」

何回目かのそういった日に紫原にそう言われて青峰は、そりゃあ嫌な顔ぐらいするか、と冷静にどこかでそう思った。紫原は赤司に尊敬やら、信頼やら、そういうものを誰よりも置いているので、きっとそう思っているのだろうなと考えていたからだ。だけどやはり青峰は、紫原のように赤司を神様のようには思えないのだから仕方ない。

「ああ、わりぃな。けど赤司も試合してくれんじゃん」
「それは赤ちんが優しいんだよ」
「…あー、なんつーか、ほんと赤司のことすきだな。あいつも紫原も俺も同じだろ。人間だし」
「峰ちんは知らないけど、赤ちんは俺とは違うし」
「知らないけどってなんだよひでーな」
「赤ちんは遠いんだよねぇ」

紫原がいつもより喋るので、なんだか別人のように感じてしまう。だからどうにも自分に言われているような気がしなくて、青峰はああそう、と異様な空気を引き離した。紫原が赤司をどう思っているかなんてどうでもいいのに、赤司は神様じゃないと、直接紫原には言えなかった。紫原がもし、赤司は神様だよなんて言い切ったところで、青峰はどうせため息をつくことくらいしかできない。逃げ出したくなることは同じだったからだ。それから、なにかを振り切るように踵を返した。


「おい赤司、どうにかしろよ」
「びっくりした…なんだい?大輝はいつも主語がない」
「びっくりするよなそりゃ。人間だし」
「なんだいきなり。当たり前だろう」

紫原から逃げ切ったところで、タイミングをわかっていたかのように出会った赤司の腕を掴めばそれは確かに自分と同じで、筋肉と骨と皮だったので青峰はすこしだけほっとした。どうやら紫原に感化されていたのかもしれないと思いながら、手なんか自分から掴んでいけいけばいいのにと首を傾げる。赤司はいつだって同じ人間なのに。

130121

赤司を誰よりも人間的に見ている青峰
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