気付かなければ良かった



*ブログネタ/ゆら→昼氷
小説書いてください(男×女)





友達だと思っていた好きが、恋としての好きだと気付いた。


いつからなんて記憶を手繰り寄せても分からない。

多分、短期間で彼との距離が縮んだせいかもしれない。

彼が見つめる先にいるのは彼女。
彼女が見つめる先にも彼がいる。


柔らかくて、温かくて、愛おしむ。
そんな風にお互いを見ているのだから、嫌でも分かる。


好き、君が好き。

チクチクと痛んだ胸を抑える。

「花開院さん、どうしたの?
顔色悪いよ、気分悪い?」


先程まで彼女といた彼が自分の前にいる。

視線を感じて、彼の背後を窺えば、ジッと見つめる彼女の視線。

「大丈夫や、なんでもあらへん」

笑う、笑って彼を見る。


心配そうな彼の表情が安心したような笑みに変わる。

「そう、それなら良いんだ」

「はよう戻りぃ、さっきから嫉妬されて敵わんさかい」

私の視線に気付いた彼が困ったように苦笑する。

彼が自分から離れて再び彼女の元に戻る。


優しくしないで、それが特別なものじゃないなら。

両想いになれるのはきっと奇跡なんだと思う。

だってこんなに哀しくて苦しいのに彼は幸せそう。


恋がこんなに苦しくて切ないのなら知りたく無かったよ。


実らない恋がこんなにも哀しいなら気付きたく無かった。


彼への好きが恋だなんて、気付くべきでは無かったのに。





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