複雑な恋人心



「なぁ奴良くん」

「どうしたの?」


ゆらが声を掛けるとリクオは不思議そうに彼女を見る。


「メガネ外してや」

「??何で……?」

突然の言葉にリクオが首を傾げると、ゆらは唇を尖らせる。

「ええやん!な、外してみ?」

「まあ……良いけど」

学校で眼鏡を外すのは、遠慮したかったが、滅多に甘えない彼女の言葉に困惑する。

それに今は数少ない二人だけの放課後の教室。

断りたかったが、彼女はワクワクと期待の眼差し。

心做(ココロナ)し、キラキラと輝く瞳に根負けして、眼鏡を外す。

「!!……有り得へん」

彼女はマジマジとリクオの素顔を見た後、呪文のように有り得へんと呟く。

「えと、花開院さん?」

「(何でや、何で奴良くんは男なのに女の子より可愛いんや!!)
奴良くん、今度からはウチ以外に眼鏡外したらあかんよ!!」

「う、うん…(どうしたんだろ、花開院さん)」

真摯な眼差しでゆらが言うので、リクオはその気迫に押されるままに頷いた。

「(それにしても女の子より可愛い彼氏ってのも複雑や)」

「本当にどうしたの?」

「何でもあらへん…」「そう? なら良いけど…
そろそろ帰ろっか」

「そやな…」

二人並んで帰りながら、話をする。

「奴良くん」

「なに?」

「奴良くんはウチの彼氏やな?」

「う、うん…そうだね///」

ゆらの言葉にリクオははにかむ。

「(ほんまに可愛えぇな
よし、ウチだって覚悟決めたる!)
奴良くん(の貞操)はウチが絶対に守ったるさかい!!」

「あ、ありがとう」

意気込むゆらの隣で複雑そうに笑うリクオだった。





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