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「こんばんは!い、いらっしゃいませ、お疲れ様です…!」
「こんばんは」
「おうマルコ、この人がaaaさん?お前の嫁さんの」
「ああ」
「んだよめっちゃ美人さんじゃねェか!」
「あの…」
「お前たらこ唇のくせにそれはおかしいだろ」
「おかしいのはてめぇの頭だろい」
「おいおい、頭についてはお前に言われる筋合いはねーよ」
「そりゃどういう意味だ」


え、どうしよう。この人たち喧嘩始めちゃったよ…!こういうときはどうしたらいいの…。フランスパンっぽい人の後ろにいるそばかすの人は呑気にあくびしてるし、おかまいなしかい!

あ。


「サッチさんがフランスパンでエースさんがそばかすですよね!」
「…」
「…」
「あ、あれ…?」


背筋に汗がタラリと流れるのがわかる。え、エェーッ!私いまなんて言った!?か、完全に間違えた!ふつうに「サッチさんとエースさんですよね」って言うつもりだったのに頭の中でリハーサルしてたのがそのまま声に…!
二人をみれば顔の影が濃くなるくらいうつむいて固まってる。出オチにもほどがあるんじゃないかコレ。


「す、すみま」
「そのとおりだよい。教えたとおり、完璧に覚えたな」
「お前かマルコォォォ!フランスパンはやめろっつっただろ。この髪型はなぁ男の魂なん」
「腹減ったな家に入るか」
「あ、気が付かなくてごめんなさい。どうぞあがってください」


言いかけてるところを遮ったからかサッチさんが拳を作りながら震えている。そしてエースさんはその肩を優しく叩いていた。
エースさん、あんまり話さないけどおとなしい人なのかな?


「すみません、すぐにご飯並べますので楽にしててください」
「お、ありがとうございます」


二人がソファに座るのを見て、寝室へ着替えに行ったマルコさんを追った。背後からサッチさんの「仕事きつかったー」って声が聞こえる。そうなんだ、やっぱり忙しいのか。マルコさんそういうこと全然言わないからなぁ。気を使われてるのかなぁ。私はそういうこと話してもらえたら嬉しいのに…。


「マルコさん…」
「aaa、夕飯は?」
「もうできてますよ。あと並べるだけです」
「そうかい。うるさいやつらで悪いな」
「いえ」


うるさいって、サッチさんのことかな?エースさんはものすごく静かだったし、むしろまだ声も聞いてない。


「でもエースさんは静かなかたですよね」
「ああ、アイツは人見知りだからな。慣れりゃサッチレベルでうるさくなる」
「あ、人見知りだったんですね」
「静かなのは今だけだよい」


マルコさんのスーツを受け取りハンガーにかける。一緒に住み始めたころ、緊張していたこの行為にも慣れてきた。


「掃除とか夕飯の支度とか疲れただろい」
「緊張はしましたけど、楽しかったですよー」
「そうかい。あとはおれが引き受けるからお前も楽にしたらいい」
「でも、」
「aaaはじゅうぶんやってくれたよい。あとは気を遣わなくていいから」
「あ、ありがとうございます…!」


な、なんて優しいの…!マルコさんだって仕事で疲れてるはずなのに!まさか1日家にいる私のことまで気遣ってくれるなんて。


「でも、大丈夫なんですか?」
「あぁ?」
「さっきサッチさんが仕事きつかったって。マルコさんも疲れてるでしょ?」
「あんなフランスパンと一緒にすんなよい。アイツは仕事が遅いから疲れるだけで内容は普通だよい」


そのあとは有無を言わさずリビングに連れていかれてしまった。向かう時にさらっと頭を撫でられて不覚にもときめいてしまった。マルコさんめ、やりおる…!


「お、パイナップルマルコの登場…ん?aaaさん顔赤いけど、なんかあった?」
「え!?」
「……べつに」


マ、マルコさぁぁぁぁんっ!ちゃんと否定してくださぁぁぁい!





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