いろいろ | ナノ









『はーい、そこで右向いて〜』

緩い声に従って手に持ったナイフをくるりと回して右に突き立てる
ぶつりと突き破る感触と共にぐじゅりと肉を引き裂く音と手応えが伝わり、横目で見れば見事なまでに左胸に突き刺さるナイフと何が起きたかわからない、といった表情の男

『さっすがメリー坊っちゃん、決まってるぅ☆』

『えぇーボクも見たかったなぁー』

「煩い黙れ仕事をしろ」

男から引っこ抜いたナイフの血を男の服で拭ってホルダーに収めると、耳に付けた無線から聞こえた呑気な二人の会話に思わず口調が荒くなる

『やだぁメリーちゃんこわぁい』

「モカ…帰ったら殺す」

『きゃっモカ殺られちゃう☆翠ねぇさん助けて☆』

『えー。すーは可愛い子の味方しかしないんだけど、なっ!』

パシュンッ、と無線の翠の声に混じって小さく聞こえた破裂音に反射的に翠のいる方向へ目を向けた

「あ……がッ……っ!?」

どしゃり、
なすすべなく地面に倒れ伏した男の額には綺麗にど真ん中に穴が開いていて、そこからどくどく溢れる血がコンクリートの地面を濡らした

『にゃははーメリー坊っちゃん、油断はダメだよー☆』

「…ふん。……助かった、ありがとう」

小さく翠へとお礼を言えば、カフェモカと翠がきゃいきゃい笑う声がしてキャラメリゼは眉間に皺を寄せた

『……メリー、翠…今ので、最後……帰っておいでって、言ってる……』

ザザザ、と無線からのノイズに続いて聞こえた声に翠とキャラメリゼは張り詰めていた緊張をほどいて合流地点に動き出した

『モカ坊っちゃん、モカ坊っちゃん。今回の反省ターイム』

『んー、とねー。メリーちゃんはとにかく前ばっかじゃダメだよー?あ、翠ねぇさんはもうちょっとだけ緊張感持ってねぇー』

『きゃー坊っちゃんキビシイ☆』

声が無線から二重に聞こえ、視線を少しずらせばへらへらと楽しそうに笑いながらこちらへと向かって歩いてくる翠の姿をとらえた

「翠、煩いぞ」

「にゃは、悪いねぇ坊っちゃん。あーあー、とりあえずメリー坊っちゃんと合流したんで帰りますよーっと」

『はいはーい☆』

『……二人共、気を付けてね…』

カフェモカとひなのの声を最後にぷつりと通信を切ると、二人を乗せた車は裏世界から表へ向かって走り出した



あかい、赤い

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ひっさびさの小説更新!
終わり方微妙ですねw
戦闘物とか好きだから書きたいけど、うまく描写書けないっす…(´・ω・`)



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