act.3 (3/4)



「本当にこっちでいいのかよ?」

一方、離れてしまった仲間を捜す為、子ども達は自分の身長ぐらいまで伸びた草原を掻き分けて歩んでいた。どこにも宛てが無く歩いている故に、純平がそう聞くが、それは前を歩いている拓也にも分からなかった。
輝二は一体どこまで進んでしまったのか、子ども達は恐らく輝二はこちらに来ただろう、と予測し歩き進んだ。
そんな彼等をヴォルフモンを見失ったグロットモンが、岩の上で昼寝を堪能している彼は子ども達の存在に気付いた。

「っへ、アイツ等も生きてやがったのか…
コイツは良い!一度に5個のスピリットが手に入るって訳か!」

グロットモン、スライドエボリューション――ギガスモン

ギガスモンへと進化をすると、そのまま彼は子ども達の頭上へと飛んでくる。子ども達もまた、ギガスモンの存在に気付いた。

「“アースブレイク”!!」
「ギ!」
「ガ!」
『ス!』
「モ!」
「ン!?」

何故ここにギガスモンが?子ども達は一気にその場から一人一人離れて何とかギガスモンの攻撃を避け長い草を利用し身を潜める。

「はっはっ!どうした、今のはご挨拶だぜ?」

砂埃が舞い、子ども達の姿も見えなくなってしまってもギガスモンは余裕の笑いを上げる。そんな余裕は今の内だ、そんな事を言わんばかりにギガスモンの周りが5つの光により包まれ、それらはやがて大きな光へと変わった。

『「「「「スピリットエボリューション!!」」」」』
「アグニモン!」
「フェアリモン!」
「チャックモン!」
「ブリッツモン!」
『ロビスモン!』

「性懲りもなくまた俺と戦うつもりか!」

一人ひとりの場所を特定すると、アグニモン達は自分の技を同時に攻撃していく。だが、やはり流石は獣型のデジモンか、状況を把握すると一度に一つ一つの技をいとも簡単に全て防いでしまう。
ギガスモンに防がれ、更に続けざまに“ハリケーンボンバー”を繰り出すギガスモン。アグニモン達は空中に連れて行かれ、やがて一番ダメージを受けてしまったチャックモンの体にデジコードが浮かび上がってしまった。
それを見たギガスモンは回るのを止めて、チャックモンに狙いを定める。

『チャックモン!』
「チャックモンはあたしに任せて!」
「留めだぁ!!」

―ガンッ!

目の前に居たチャックモンが狙われていた。しかしそれを上手く風を利用しチャックモンの元に行けたフェアリモンによりギガスモンの攻撃はそのまま彼女へと行った。攻撃を趣に食らってしまったフェアリモンは大きくダメージを負ってしまったのか、彼女の体からはデジコードとフェアリモンのスピリットが現れる。

『フェアリモン!』

奪われてしまう、フェアリモンのスピリットが…!そう察したロビスモンはまだ空中にあった自分の体が地面に付かないよう手を上手く使い、そのまま方向を転換し今にもスピリットを奪いそうなギガスモンに負けじとフェアリモンへと手を伸ばした。
だが、そんな事はさせまいと言わんばかりにギガスモンはふと長い腕を思い切り振るいロビスモンを殴り、彼女にもまたロビスモンのスピリットとデジコードが姿を現した。

『うぁっ…!』
「スピリット!頂きい!!」

まずは風のフェアリモンのスピリットから。飲み込む勢いで飛び掛かり、スピリットを奪われてしまった泉は進化が強制的に解除され生身の体のまま空中から落とされる。
それだけでは終わらない。ギガスモンの視線は先程攻撃をしてデジコードとスピリットを露わにしたロビスモンへと向かう。一度地面に着いたが直ぐに方向転換し、そのロビスモンへと向かう。
これ以上ギガスモンの好きにはさせないと言わんばかりに、アグニモンとブリッツモンが飛び掛かった。

「ギガスモン、スライドエボリューション!―グロットモン!
―“スネークアイブレイク”!」

アグニモンとブリッツモンの腹にグロットモンのハンマーが強く入る。その所為かアグニモンとブリッツモンもまた、自身からデジコードとスピリットを露わにしてしまう。
この場に来て、全員が全員スピリットを奪われてしまうのか、そんな危機的の状態の中、彼等を救ったのは、先に行ってしまった筈の輝二がヴォルフモンに進化をして、攻撃を仕掛けようとしていた。

「――“リヒト・クーゲル”!!」

頭上からの光の光線を浴びさせる。
その光は岩山の方で何やら赤い石を持って何かをしているゴツモンにも見えていた。
強い光はグロットモンを完全に倒す事は出来なくとも捕まえる事は出来た。

「俺のスピリットが欲しかったんじゃないのか?」
「ッへ!その通りさぁ!」

グロットモンはどこからか取り出した二本のハンマーを取り出す。“スネークアイブレイク”は、至近距離で避けるのは難しいと思われたが、ヴォルフモンは上手く交わし「決着を着けようぜ!」とグロットモンの顔を蹴り上げた。
グロットモンが怯んでいるのを良いことにヴォルフモンはあの岩山の奥にある石像まで走っていく。グロットモンはギガスモンに進化し追いかける。

『大丈夫?泉…』
「大丈夫…でも…」

この場に居る子ども達はギガスモンの攻撃で目立った傷は無いが、ボロボロだった。そんな中、一番被害を受けたのは泉。彼女のデジヴァイスにはもう、何も映す物は無いと言うように砂嵐が走っており、それを見て余計に泉は落ち込んだ表情を見せる。
罪悪感が、結衣を襲った。

『ごめん、私なら直ぐに助けられたのに、ごめん…』
「結衣……大丈夫よ、結衣。そんなに悩まないで、あたしはチャックモンを助けたかったの。あたしの不注意でギガスモンに奪われちゃったの。また取り戻さなくっちゃね」

ね?と小さく微笑んで見せると泉は立ち上がった。
結衣は泉の言葉に対して腑に落ちなさそうな表情で顔を俯かせていたが、今はまたどこかへ行ってしまったヴォルフモンを追い駆けなくてはならない。
子ども達は、急いで痛む体を気にせずヴォルフモン達の去っていた方向へと足を進ませた。





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