act.5 (5/6)



氷の悪魔がニヒルを浮かべる。動けなくする事が目的だったのだろう、ブリッツモンもフェアリモンも胸元まで氷漬けにされては悔し気に睨む。

「動けないようにして、一匹ずつゆっくり切り刻む!グッドアイディア、だろう?」

「“カチカチコッチン”!」

何とか逃れた三人。チャックモンがアイスデビモンの足を凍らせ、動けなくなった所でレーベモンとロビスモンが持っていた武器を構えた。

「“エーヴィッヒ・シュラーフ”!」
『“ヴォーパルの剣”!』

下からアイスデビモンへ突き刺す様に刃先を向けて攻撃。その衝撃でアイスデビモンは真上まで飛んでいくが、アイスデビモンはその翼で攻撃を防いでしまうため、ダメージはさほど与えられていないのだろう。頭上まで飛んだアイスデビモンは翼を広げ、こちらを見下げた。

「三匹は逃げたか?中々素早い」

連携技は失敗したが、三人再度集まるなり顔を見合わせ頷き合う。
デジコードを身に纏い、獣型へと進化した。

『「「スライドエボリューション!」」』
「“アバランチステップ”!」

獣型へと進化をし、ブリザーモンが先に攻撃を仕掛ける。自分の目の前に落ちてきた斧を両手で持ち一度瞼を閉じてから再度アイスデビモンへと斬りかかるが、それは空振りに終わってしまう。

「“シュヴァルツ・ドンナー”!」
『“エアロカノン”!』

続けてカイザーレオモンとヴィータモンによる攻撃が仕掛けられるが、その攻撃もまたアイスデビモンの翼により阻止されてしまう。
その様子に、アイスデビモンは浮かべていた笑みを止め真顔でその三人を見据える。

「いまいち面白みに欠けるぜ…。――ニィッ」

不意に逸らされる視線。その視線の先を追う前にアイスデビモンはその視線の先まで移動した。
その先には拓也と輝二が岩陰でひたすら凍ったデジヴァイスのボタンを弄っている姿。
まさか、嫌な予感が過った時にはもう拓也と輝二はアイスデビモンの手の中に纏めて鷲掴みに持ち上げられてしまった。

「拓也はん!輝二はん!」

もう空いている片方の手が二人に近寄り、その鋭く尖った爪をそのまま二人に向ける。
人質を取られてしまった。怪しげな笑いを上げながら此方の様子を伺うそのアイスデビモンの姿は試す様な、自分達の反応を楽しんでいる様な目をしている。
妙な考えを持つ敵だ。下手に手を出せなくなってしまい、三人は一歩後退る。その姿に関心を抱いていた。

「ほ〜ぉ?仲間を盾に取られたら動けんのか。自分より仲間を庇う妙な者たちが時々居るが、貴様らそういうタァ〜イプ?…ならば実験してみよう」

一人で納得をしては向けていた爪を止め、ゆっくりと二人を降ろすなり間髪いれず二人の周りにだけ妙な結界が張られていく。普通の結界ではない、その妙な結界は二人を閉じ込めるなり、冷気を帯びていった。

「私の冷気に人間がどこまで耐えられるかぁ」
「卑怯者!」
『とことん最低な奴』
「卑怯?最低?強いものが弱いものを甚振る――」

二人を人質に取られ、怒りを静かに露わにする。地面に立つ自分の脚に怒りのあまりに力が籠る。
こんな奴に、あの牢獄の間で閉じ込められていたデジモンだった者たちは食べられてしまった。
悔しい、自分の力が通用せずこうして仲間をもまた傷つけてしまう。
そんな時、睨んでいた対象が瞬時に消えていき次には見ていた景色が切り替わり、同時に自分の体がどこかに打ち付けられた衝撃が走る。消えたのではない、相手が素早く移動して攻撃を仕掛けてきたのだ。
反応が出来ず、生えている岩へと体を打ち付けた。

「当たり前の事だろうがッ!」
「ヴィータモン、ブリザーモン、カイザーレオモン!」
「やめろッ!」
「…仲間の心配をしてる場合じゃないぞ?」
「!?」
「拓也!」
『ッ!』

「ぐっ、うぁぁぁあ!!」

アイスデビモンはヴィータモン達だけでなく、人質として捕らえている二人にも攻撃を…。
拓也にゆっくりと迫る氷の枝が生えてくる。それにいち早く反応出来た輝二が拓也を押しやり庇うが、代わりに輝二がその氷に囚われてしまった。
その声に反応しては、ヴィータモンとカイザーレオモンがすぐに立ち上がる。

「良い声だ…。仲間など庇うから悪いのよ」

もう、許せない。
そんな想いを強く抱いた二体のデジモンは真直ぐにアイスデビモンへと睨みを効かせた。




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