:マルガリータ

「あけおめことよろ!」
「ノリが軽いな?」
「え? でもこう言うんでしょ?」
「それどこ情報なんだよ」
 あっはは、とそれはそれは楽しそうに笑う。その笑顔はこっちの心臓に悪いことを知らないままでいてほしい。
「ねえねえマスター、今年もオレと一緒にいろんなことしよーね!」





:クニトモ

「あれ? マスターさんどないしたん?」
「ええ、と。実はフルサトさんにお年玉もらってしまって……」
 クニトモは、ああ、と納得した声で頷いた。
「ボクも貰ったわ。せやけど、どう使うかが問題やねえ」
「ですよねえ、ていうか、大丈夫ですって言ったけど遠慮しないでって言われてそのまま……」
「意外と押しが強いもんなあ、わかるで」
 うんうんと相槌を打ってくれる彼はにこりと微笑む。
「マスターさんの好きなようにしたらええんやで。フルサトさんもそれを望んどるやろし」
「……悩む……」





:ベス

「ねえ、太るぞって言って」
「は? どうした急に」
「いや、あの、自制のために言ってほしいなって……思って……」
 まだ不思議そうにしているけれど、まあマスターの言うことならと飲み込んでくれた。うわ優しい、好き。一生言わないけど。





:カトラリー

「お雑煮美味しい?」
「ん? うん、美味しいよ」
「そっか」
 さっきまでばたばたとしていたけれど、今はゆっくりとお雑煮を食べている。美味しそうにものを食べる人だなあ。見てて飽きない。
 こういう時間が増えて、ずっと続けばいいのに。この人が美味しいものをのんびりと味わえるような、そんな世界。きっと、今のままじゃ難しいんだろうけれど。





:スナイダー

「レジスタンスにだって休みくらいあるよ、いや休ませてくださいお願いします」
 休みなんてないだろうと、ある意味ごもっともな意見を述べる彼は舌打ちを隠さない。そういう銃であることは身をもって知っていた。
「まあ、別にその考えも分からなくはないんだけど、こういうのもだって大切だと思うわけだよ」
「そんなもの、俺には関係ないだろう」
「今は人の身を得ているんだから関係なくないよ」
 俺、という単語の中に貴銃士、という意味が含まれている。貴銃士と人間は、きっとどうしたって相容れない。それを実感させるのが得意だな、君は。





:シャルル

「う……運動しなきゃ……」
「別にしなくてもいいんじゃない? 大丈夫だって」
「マスターってたまにすげー無責任になるよね」
 じとりと見れば、あはは、と雑に返される。そういうのでうやむやにできると思ったら大間違いだからねマスター。
「でも美味しいものは食べたくなるじゃんね、仕方ないでしょ」
「君は誰の味方なの……」
「みんなの味方です」
「じゃあ俺の運動のこともちょっとでいいから応援してほしいなー、なんて」
「シャルルは大丈夫だって信じてるよ」
「、そういう、ことをさあ、しれっと言わないでよね……」





:ホール

「お年玉の相場? 貰ったことないから分かんないや、ごめんね」
「え、あ、そう、なんだ?」
「うん」
「そ、っか……」
 ごめん、と謝れば君はきょとんとした顔で首を傾げる。だって、だってさ、ああいうのって、普通は子供の頃に貰えるものなんじゃないのかなって、勝手に思ってたんだよね。それを、そんなにもあっさりと言うものだからこっちが気まずくなってしまう。
「別に気にしなくていいのに」
「俺が気にするんだよ」
「変なとこ真面目だなあ」
「そういう問題……?」
 ふふ、と楽しそうに笑うから、何も言えなくなる。君が今を楽しいと思っているのなら、それでいいや。