短編に満たないものとか会話文とか
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すくい

:テディ

 死んでほしくなかった、生きていてほしい。そんなものは全部自分の都合で、紛れもないただのエゴで、他人に押しつけるものではない。そう、思って生きてきた、のに。なのに。他の誰でもない、私が、それを、した。して、しまった。あの日確かに死にたかった彼を、私は。
「それでも、あの日に死ななくてよかったって、俺は言いますよ」
 あなたがどう思っていても、死ななかった結果がここにある。生きている俺がここにいる。あなたに救われた、ことだけが真実。


2023/09/23 



お茶について

:ハナマル

「主様はさぁ」
「うん」
「紅茶、コーヒー、緑茶、の中ならどれが一番好き?」
「ココア」
「第四の選択肢……」
「あは、まぁその中なら緑茶かなぁ。飲み慣れてるし」
「へぇ、なるほどねぇ」
「で、それがどうかした?」
「いや? 主様の趣味を把握しとこうと思ってさ。ほら、俺も主様の執事なわけだし?」
「ふぅん、そっか」
 それじゃあ、俺が主様をお茶に誘ってもいいってわけだ。まぁ執事としていいかどうかは横に置いとくけども。

2023/09/23 



好きなだけ泣いていいんですからね

:テディ

 生まれたくなかった、生きていたくない、死にたい、死にたかった。そんな言葉がぐるぐると頭を回って気持ち悪い。椅子に座れなくてしゃがみ込んで床を見つめる。ここに私以外の誰がいたか、そんなことにすら気が回らず、ぐるぐる頭を回っている言葉を吐き出した。
「──……」
 こつ、と一色だけの床に誰かの靴先が映る。顔を上げる前にその人はそっと私の両手を握った。
「じゃあ、主様。本当に、全部嫌になって、捨ててしまおうって思ったら、一緒に死にましょうか」
「……え?」
「だって、俺はあなたに救われてここにいるんです。あなたがいないのなら、俺の生きる意味はありませんから」
 ゆっくりと顔を上げて、彼を見る。穏やかな声で告げるラムネ色の瞳に嘘なんてなくて、私と目が合ったら小さく、どこか困ったように笑っていた。

2023/09/18 



「半分冗談だけどっ!」って言うあれ

:テディ

「てことは、半分は本気なの?」
「…………」
 ぱち、と瞬きをしてから少し考えるような素振りをして笑顔で口を開いた。
「ところで主様! 今日はいつまでこっちにいられますか?」
「話逸らしきれてないぞきみ」


2023/08/29 



気付いてるかどうかは知らないし

:テディ

「どうですか、主様」
「ん、んー……? 美味しい、と思う……?」
「微妙ということですね……」
「いや、その、わかる人にはわかると思うよ、ただ飲み慣れてないってだけで……」
「……じゃあ、主様」
「ん?」
「飲み慣れるまで、俺の淹れたコーヒーを飲んでくれますか?」
「ん、ふふ、もちろん。よろしくねテディ」
 告白みたいだね、とは言わなかった。

2023/08/06 



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