十面相

『あなたおとなしいよね』

よく言われる。


好きです、と君に伝えた。

そしたら君は、僕実は・・・・・・・・・・・・・・・、と。

悲しい沈黙にこれ以上耐えられそうになかった。


人生初の告白にふられてしまった。


おとなしい私は、君が好きだった。





『あなた元気だよね』

よく言われる。


ずっと前から好きだった君に、好き!って言った。

君は、驚いた顔をして、え・・・・・・・・?と心配そうな目で見つめ返してきた。

あぁ、やっぱり私じゃには釣り合わないみたい。


人生初の告白にふられてしまった。


元気な私は、君が好きだった。




ツンデレな私も、セクシーな私も、読書家な私も、わいるどな私も、色っぽい私も、ふんわりした私も、泣き虫な私も、みんなみんな


君が大好きだった。

そして君が、


大好きだ。


何人もの『私』が君に告白するうちに、君が私にこんなことを言ってきた。


「君の中の一人だけを愛しましょう」


ばくばくばくばく・・・・・・・・・・・みんなの心臓が高鳴る。

ねえ、私たちの早まる鼓動を押さえつけてよ。



***


好きです

好き!

だ、大っ嫌いでだ、だだだだだ大好きなんだからね・・・・・っ

好きよ。

私はあなたを愛しています

お前が好きだ!

あなたのことを食べちゃいたいわ。

す、すすすすすすきだよ・・・っ?

ふ、ふえぇぇっす、すきっ




君が僕に何度も何度も告白をしてくる。

僕だって、僕だって、君が好きだ。大好きだ。


初めて君に告白された、あの日__

ずっと前から君が好きだったと伝えたかっただけだった。


君が何人もいるのは僕のせい。

僕があの時恥ずかしがって、その言葉が言えなかったから。


君がおかしな方向に勘違いしてしまった。




次の日、また告白をされた。

おとなしかった君とうって変わって、とても元気な女の子に。


でもそれは君だ。確かに君なんだ。


次の日も、その次の日も、君は別の君になって僕の元へ訪れる。



胸が、胸が締め付けられる・・・・・・・。と、同時に・・・・・・・・・惹かれていったんだ。




ある日、僕は『君』に伝えた。

僕は1人の人しか愛せない、と。


人格は1つしか選べないんだ・・・・・・・・・・・・・・!


***

君に、「1人の人しか愛せない」と言われた。

私は私。私なんだよ・・・・?


でも、日を重ねていくうちに気がついた。

いつの間にかクローゼットにあきらかに自分の趣味じゃない服が。
私の趣味じゃないアクセサリー。


そして、私だけど私じゃないプリクラ。


誰、なの・・・・・・・?いやいや、私だよ。確かに私。





私は多重人格?





私が、私たちが生まれた理由。

それは、『君に愛されること』


それならばもう終わってしまったね。



さあ、最後にみんなで笑いましょう。

さよなら、おかえり。


私は元の1人よ。


***END

こんにちは。十面相です!
PVで2人目の子はどこにいるのかいつも不思議に思ってます。←ぇ

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