ねぇ、バカでしょう



「あーあ、今日も頑張ってやんの」


夕暮れ、教室の窓から見下ろすグラウンドであいつは今日も走っていた。


陸上部のあいつは、こうして部活が終わってからも毎日残って練習している。
なんて熱血馬鹿なんだろうと思うけど。

あたしはこうしてそんなあいつを教室からずっと見ている訳で。
それが少し楽しかったりする訳で。


『俺、次の大会で優勝したら先輩に告る!』


などと仲間に宣言してたのをたまたま聞いた。

嗚呼納得。
因みに先輩とは陸上部マネージャーの美女。
優しい美人でなかなかモテるらしい。


けれど数日後。

ある日ぱたりとあいつは居残り練習を辞めた。


理由は直ぐわかった。


先輩は陸上部部長とデキていたらしい。

なんとまあベターな展開なんだろう…とあたしは頭を抱えた。



あいつには幸せになって欲しかったんだけど…な。


そう思っていた矢先、再び練習が再開された。

今度は何だと何時も通り眺めていれば、なんだか吹っ切れたような表情。



嗚呼そっかあいつはそういう奴だったな。

諦める気は、ないって。

絶対、奪ってやるって。


ほんと、馬鹿。



まあだからあたしもあいつを好きになったんだろうな。



ふと振り返って目にとまる教室の机に置かれた白い花。


「もう届かないけど。」


あたしもずっとあなたを追いかけていたよ。



叶わないって知っていても。

もう二度と届かないけれど。


あたしも大概馬鹿みたい。



大好きだよ。


(fin)




てわけで幽霊の女の子のお話でした。

久しぶりに純愛書いたな。


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