頭を撫でてあげると、嬉しそうに、本当に嬉しそうに君が笑った。



どぎまぎしてしまった。あんまり綺麗だったから。



良いんだよ??



彼女から言われ、ちょっとした罪悪感が生まれる。



早く動かなきゃならないのに、



少しでも長く君といたいなんて


君と離れたくななんて


そんな事を思っちゃって、いたたまれない。



いっぱい、いっぱい頭の中で謝る。

ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんねごめんねごめんねごめんね……


ふいに涙が零れそうになって、慌てて拭う。


君はそれを見て、儚げに笑った。



大丈夫。いつも一緒だよ。



少し笑ってみせると、君の頬に雫が伝った。


やっぱり自分のやってることは間違いなのかな。


不安げな顔で君はこちらをみた。


大丈夫。いつも一緒、なんでしょ??


君はそれ以上の涙を見せず、また笑った。


うん。


頷く。君も、頷いた。


最後に。


そう言って、君はキスをせがんだ。



こっぱずかしいけど、顔を近付けて唇を重ねた。



もう後悔はない。



右手に持った銃の引き金を引く。



パァンッ!!



耳が破裂しそうな程
けたたましい銃声がした。



額の間にぽっかりと開いた穴。



勢い良く血が吹いて、僕の顔にもいっぱいかかった。



どくどくと流れる血で、君の綺麗な顔は真っ赤だ。



苦痛で顔が歪んだと思うと、すぐに君の顔は硬直した。



良かった、死んだんだ。



僕は右手を下ろした。



嬉しいような、悲しいような、複雑な気持ちがうずまく。



さっきまで一緒に話していた彼女はもう二度と戻らないと思うとやっぱり切ない。



まず足を包丁で切る。



少し血に濡れていたけど、白く細く長い足はやはり美しかった。



太ももに静かに包丁を入れる。



何でかすごく興奮しちゃって、手が震えた。



足を体から切り離すと、とりあえず味見をする。



切れた部分の端を少し切って、口に入れてみる。



血生臭いけれど、ほどよい食感が気持ちいい。





焼いて、ちゃんと味付けしたらもっとおいしくなる。



君は、綺麗で優しくって、僕の事を大事にしてくれて、その上おいしいなんて。



愛おしさで胸がはちきれそうだった。



君は、ついさっき言った。



私は病気だから、もう死ぬかもしれないと。



僕は泣いた。



悲しくって泣いた。



君は更に続けた。



死ぬのは怖くない。


怖いのは、死んだ後に、
焼かれて、私の存在が消える事なの。


何も残らなくなる事なの。





僕は言った。



どうすればいい??






君は銃を僕に差し出して笑った。



これで殺して私を食べて。





そっか。





僕も笑った。



僕の中で君は生き続ける。



これで、君と僕は一生一緒だ。


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