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シスターは神様が見ているよと言ってくれる。神がいたら私はこんな所にいないだろう。
少しまでこの世は争いに溢れていた。らしい。私に記憶はない。その争いで怪我をしていたのを保護されここにいる。もうそろそろここを出ていかなくては行けない年齢。なにも決めてない。知らない農夫からの求婚はあった。断った。嫁というなの奴隷が欲しいのが見えていたから。じゃあ自分はどうしたらいい?この先行く宛はあるのか?焦らなくてはいけないのに焦ることができない。
「シスターは今不在です」
賑やかな教会ではないが時々人はやってくる。車椅子に乗った男性とそれを押す褐色の男性。
「構わない、少し居させてくれ」
そう言いながら私に寄付と言う名の包みを渡してくる。その男の人のは傷だらけだった。
「あなた方に神のご加護がありますように」
決まった台詞を言いながら車椅子の男性からそれを受けとる。手に触れた瞬間何が脳裏に映ったような気がした。
酷く懐かしく酷く苦しい。なんだこれ。こわい。
だけど顔に出してはいけないから微笑みながら男性をみる。
男性は片目を見開きながら私を見ている。
「────、」
なぜにか私の名前を呟く男性
私はこの人に名を名乗ってはいない。
「いや、ちがうか……」
そうまた呟く。褐色の男性は困ったように笑っている
「…私の事お知りなのでしょうか?私の名はそちらであってはいるのですが」
そう返答すると2人は顔を見合わせていた。
そしてまた来るといい去っていった
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