「ねぇ、なんで神奈川には方言がないんだろう」

あぁ、また部長の素朴な疑問コーナーが始まった。いつもかっこよくて憧れの幸村部長もこのときばかりは面倒くさい。本当に面倒くさい。
しかもここには幸村部長、丸井先輩、仁王先輩、ジャッカル先輩、そして俺。このなかに今の部長をなだめれる先輩はいない。もちろん俺も。
あぁ、なんで柳先輩がいないんだろう。副部長と柳生先輩はこの際どうでもいい。

どうか俺に当たりませんように。

「ねぇ赤也、なんでだと思う?」

うわぁ、念じたそばから予感的中。

「…と、東京に近いからじゃないすか?」

無難だろうと思ったこの答えに幸村部長は納得しなかったみたいで。

「でもさー、言っても東京じゃないわけじゃん?ねぇ、方言あってもよくない?」

「なんで幸村はそんなに方言に拘るんじゃー」

仁王先輩ナイス!
これで部長が「ん―?なんとなく。まあいいやめんどくさい。」とかなれば…!

「だって方言てなんか魅力的じゃない?俺も欲しいんだよね。ね、どんな方言が似合うと思う?」

…甘かった。

「幸村くんは綺麗な顔してるからあんま似合う方言みつかんねぇよな―。」

「そう?みんなはどこかな、じゃあまずは真田から!」

ああああああ、丸井先輩がいらない便乗したせいで方言談義が始まってしまった。

「初っ端から真田はハイレベルじゃのう。」

「あいつの話し方は場所以前に時代が違うからね」

「真田はパス!」

「じゃ次は蓮二ね」

「参謀は京都弁じゃな」

「あーわかる。舞妓さんみたいなやつね」

「すっげぇ分かる!ぜってぇ京都弁だろい!」

…正直俺も柳先輩の京都弁説には賛成だったりする。

「次は柳生じゃな」

「ん―、比呂士は博多弁!」

「あぁ、なんか分かる」

「じゃあ次は…」

「あの、副部長は秋田だと思うっす」

ああぁ、言ってしまった、聞いてたら楽しそうだったんだもん。

「あぁ!わかる!あれでしょ、なまはげ!」

や、俺そこまで言ってないし。思ってたけど!

「さすが赤也、毎日制裁されてるだけあるのう」

「仁王先輩だって似たようなもんじゃないっすか!」

「プリッ」

「ねぇ赤也、じゃあ俺は俺は?」

「部長は兵庫っす。つーか神戸っす」

「あー方言つーより神戸の町並が似合うよな」

「ふーん。まあいいか、合格」

あっっぶねぇ…!つーか合格とか何!

「じゃつぎは…赤也!」

「あ、俺もあるんすね。なんすかなんすか〜」

「赤也は名古屋じゃなか?」

「ん、じゃそれでいいや」

「え!ちょ、適当!酷くないっスか!」

「赤也うるせぇ。黙れ」

「えええぇ、」

まぁいいか、名古屋すきだし。うまいもん食えるし。お洒落だし。行ったことねぇけど。つーかどこにあるんだろう。名古屋県とかあったっけ?

「じゃ次は仁王―」

「仁王はそれでいいだろい」

「なんでじゃあああ、俺も欲しいんに」

「うるさいなぁ、その微妙な訛りとだっさいしゃべり方がお前にはぴったりだよ」

「…ぷぴーな」

あぁ、仁王先輩あからさまにシュンとしてる。うける。笑

「…なぁ、俺は?」

「あぁ、ジャッカル。お前なんで今まで黙ってたんだよい。静か過ぎて存在忘れてたぜい」

丸井先輩ひでぇ。でも否定はできない、俺も。

「ジャッカルはあれじゃん。もちろん、えーっと…あ、スワヒリ語」

「スワヒリ語って…せめて、せめて母国語にしてくれ…!」

「ジャッカルジャンボ―!」

「え、幸村くんジャッカルはそんなにでかくねぇよ?」

「ばかだなぁ、ブン太は。ジャンボはスワヒリ語の挨拶だよ」

「あ、そうなの?」

「それじゃあみなさんご一緒に、せーのっ、ジャッカルジャンボ―!」

「「「ジャンボ―!」」」

あ、ジャッカル先輩なんか寂しそう。

「ねぇねぇ、幸村くん、俺は俺は?」

「ブン太?ブン太は語尾に『ぶー』とでもつけとけよ。」

「え?」

「あ、別に『ぶひっ』でも構わないよ」






あぁ幸村部長超生き生きしてる。


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1週間位は確実にジャンボとぶーは言わせられるんです

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