きゅぽん


きゅっぽん



「ねえ仁王。それうっとうしいんだけど」

「…でも楽しいけぇ」

「こっちとしては気になってしょうがないんだよ。やめろよ早く。今やめなかったらこの卒業証書どうなってもしらないから」

「ちょっ…幸村…!おまんさんいつ俺の証書取ったんじゃ!」

「そんなのいつだっていいじゃない」

「ああああああ!ごめん!ほんにごめん!やめるから!やめるからその手に持ってるコーヒーこぼそうとするのやめんしゃい!」

あははは仁王必死。面白くなってきちゃった。でもまあ今回だけは許してあげようかな。今日は特別だからね。


そう、今日は卒業式だった。
俺は部活以外学校に特に思い入れがあるわけでもないし、感動もしなければ涙も出なかったんだけど、レギュラーで唯一2年の赤也だけは違ったみたいで。

俺達が最後の挨拶と思って部室に行ったら顔ぐっちゃぐちゃの赤也が突進してきたんだよね。もう泣きまくってさ、可愛い後輩だよほんとに。

赤也をなだめて、コートにも挨拶して、でもなんだかみんなと離れがたかったから、赤也をつれたレギュラー8人全員で今ファミレスに来てるんだけど。

俺の隣がたまたま仁王だったんだ。あいつさ、証書入れる筒でずうっと遊んでるんだもん。煩くてたまんないよ。まあそれで冒頭に戻るんだけどさ。


「それにしてもさっきの赤也は泣きすぎだろい」

「なっ…!今掘り返さなくてもいいじゃないっすか!つーか丸井先輩だって俺見てちょっと涙目になってたくせに!」

「あ、すんませーん、チョコレートパフェ追加で」

「無視っすか!」

良かった、赤也も元気出たみたいだ。嬉しかったけど、現部長が泣きじゃくってたら示しがつかないしね。

「ところで真田は卒業して何年目なの?」

「幸村!俺はさっきお前たちと一緒に卒業したばかりだろう!」

「あはは、何言ってるの真田。そんな老け顔の中学卒業生いるわけないじゃない」

「幸村!」

「卒業して30年目位?大変だね、先生引率ご苦労様」

「ゆきむるああぁ!」

「精市、そこらへんでやめておいてやれ」

「蓮二は真田何年目だと思う?40年?」

「精市お前は今俺の言葉を聞いていたのか」

だって真田今日父兄に何回先生と間違われたと思ってんの。「いつも息子に厳しい御指導ありがとうございました!」てさ、笑うしかないでしょ。もう俺腹筋崩壊するかと思ったよ。


「ジャッカル―!ドリンクバー注いでこいよ!俺メロンソーダ!」

「俺かよっ!」

「丸井くん、私が行ってきますよ。ジャッカルくんは待っていてください」

「お!比呂士さすが紳士だろい!」

「悪いな、サンキュー」

あれ、柳生って今トイレ行ったばっかじゃなかったっけ…

「メロンソーダ注いで来ました、どうぞ」

「比呂士サンキューな!……っぶ!…げろろろろろ」

「ふはっ…くっ…ブンちゃん引っ掛かったなり」

「おまえ…!イリュージョンか!」

「旨かったじゃろ?まーくんのミックスジュース」

「仁王てめええええ!」

「すみません席を外してしま…っ仁王くん!何でイリュージョンしているんですか!」

「ぴよっ」

ああ、やっぱりイリュージョンだったのか。


うん、みんな変わってないな。さっきから色々聞こえて来る会話が懐かしくて頬が緩む。


「幸村ぶちょー!」

「ふふふ、なんだい、赤也」

「俺幸村部長が部長で良かったっす!」

「ありがとう。まあ俺は高校行っても部長だけどね。赤也、1年後覚悟しておきなよ」

「はいっ!」

「じゃあ仁王にミックスジュース作りに一緒に行こうか。赤也は何混ぜたい?」

「…え?」




ああ、やっぱり俺は立海のテニス部がすきなんだと思う

今日で終わりには、したくない


――――――――
きっと卒業式後はこんなかんじ。

斎槻さん遅くなりました!
リクエストありがとうございます!(^ω^)
気に入って頂けたら嬉しいです!
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