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時は待たない。すべてを等しく終わりへと運んでゆく限りある未来の輝きを、守らんとする者よ。



11/3 火
2009

街全体、空までもが暗闇に覆われた影時間。
そこで一つの影は呟いた。


「最後のシャドウ、しっかりと倒してくれたまえよ」





「くそっ! どうなってる。みんな無事か!?」


明彦は周りを見渡しつつも、少しの焦りを隠しきれないのか舌打ちをした。
即座にその声を聞いた美鶴は、同じく首を動かしながら声を出す。


「視界が不良で確認が困難だ。山岸ッ!」

「はい!」


風花は即座に自らのペルソナ、ルキアを使い仲間たちの居場所を確認する。


「真田先輩、天田くん、コロちゃん、順平くん、桐条先輩、奏くん……」


確認の最中、1人(1体と言った方がいいのかも知れないが)の反応が高速で離れるのがわかった。
咄嗟に声が漏れる。


「アイギス、慌てて何処へ……? あ!? ゆかりちゃん!」


呼ばれたゆかりはビクリと反応すると、不安を顔に出したまま振り返った。


「リーダーに手当てを!」





痛みはなかった

     一瞬に無限の隔たりを感じる

目の前のすべてが
過去になってしまったように思う


  ――僕はここで死ぬのか?


   あの時両親を失くしたこの場所で


  ――シャドウ 人類の敵


 ちくしょう
         あっけないな……





       まだだ

    まだ、終わらせない



前触れもなく響いた声は、前触れもなく消えて。
再び目の前が黒く塗り潰された。





「……、」

「おっ、やっと起きたか!」


目を開ければ、そこには順平の姿。と言うか、顔が近い気が……、


「バカ野郎! 立ち止まる奴があるか!」


自分が、所謂姫抱きされていることに気付くと同時、明彦の声が響く。
そして順平の後ろには敵の姿が。


「おい、」

「?」

「今すぐ走るか降ろせ」


じたばたと暴れてみるが、自分より大きい相手に敵うワケもなくて。敵との距離は縮まるばかり。


「……っ!」


間一髪。奏が敵を撥ね飛ばし、逃げる隙が出来た。
地面を強く蹴り跳ね上がる、が。


「っ、(腕が……動かな……)」


駄目か、と内心諦めかけていると背中が何かにぶつかる感覚。
振り返ればそこには奏の姿があって。


「あんま無茶するな」


少し呆れを含んだ苦笑を見ると、地面へと着地した。
すぐさまゆかりが手の傷を治しにかかる。


「死んだら治せないよ」

「わかってる」


そうは言ったものの、正直危ない。
現に敵は再びこちらに向かって来ていた。


「どうする?」

「……どうにかする」

「ん? あ、おい!」


奏の言葉に短く返すと、近くにいた順平の剣を奪い取る。


「どうすんだよ!」


順平の声が聞こえる。
そんなことは気にせずに向かって来る敵の前へと立ち止まった。


「これから考える!」


そして、走り出した。




Le commencement de la fin.
終わりの始まり





個人的ブームが来ると連載が始まるパティーンです
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