零した赤

チャイナ服を着た彼女は髪が赤茶けていて綺麗だ。なんだか夕焼けみたいで、触れてみたくなるのだ。
隣の席で友達と楽しげに話す彼女の髪にそっと気づかれないように手を伸ばす。指の先で触れた赤い髪は柔らかくて細かった。感触を確かめた途端彼女が振り向いて顔をしかめた。その表情になんだかやる瀬なくなって思わず指の間にある髪を掴んで引っ張った。
「赤茶けてて変なの」
いやらしい笑みを浮かべて嘲ってみせる。彼女は首を振って手を振り払った。
「お前なんか大嫌い」
俺だって嫌いだ。とは言えなかった。
放課後、あんまり空が綺麗だったものだからひとり2階の教室に陣取って窓から外を眺めていた。その夕焼けに彼女を思い出してため息をひとつ吐いた。感傷的になってしまって馬鹿みたいだ。自嘲気味に鼻を鳴らすと窓の下を彼女が通った。
「夕焼け、綺麗だな」
考える間もなく口から言葉が飛び出す。彼女はこちらを仰いで髪を夕焼けに輝かせた。
「お前の髪、この夕焼けみたいだな」
彼女の瞳が夕焼けを写す。
「俺、好きだぜ」
彼女が声を張り上げた。
「お前の髪、女みたいに細くて柔らかくて変な色で性格の悪さが滲み出てるけど、その色嫌いじゃないアル」
彼女の顔が夕焼けを浴びて赤く染まってみえた。きっと自分も彼女から見たら夕焼けの光のせいで顔が赤く見えるだろう。






沖田くんと神楽さんは学生らしい恋をして欲しい。


(101209)





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -