球体

「地球はさ、丸いんだってよ」
誰も知らない秘密を披露するように坂田は大袈裟に手を広げた。
「うん」
真面目な顔を繕って返事をする。
「だからきっとさ、ふたりが離ればなれになっても、いつかまた地球のどこかでばったり出会うことが出来るんだろうね」
そっと息を吐きながら大事そうに、言葉を確かめるように彼は囁いた。
「誰も寂しくならないように、きっと地球は丸くなったんだよ」
顔を寄せてくる、坂田のその頬を両手で挟んで綺麗な鼻に接吻をひとつした。
「俺はだから寂しくないよ」
彼は泣きそうな顔で笑った。


(101202)





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