図書委員長:薙沢律の場合ー1



図書委員会…

15名構成
なんだかんだαが多い
図書室の管理、本の貸し出しなど図書に関することが主な活動



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図書委員長:薙沢 律(なぎさわ りつ)

α
物静か。読書家、というか知識を詰め込むのが好き
ミステリアスと言われるがただ単に字好き
人とあまり群れることはない。日にあまり当たることはなく色白。
普段から運動をしていないのに、運動神経は抜群で骨格もいい。
手が大きくごつごつしていて、もろタイプ(作者の)。
181センチ。



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空気までもが澄み渡った青い空。
弓弦はゆっくりと瞳を開けて、眼前に広がる青い青い天井を暫しの間無心で眺めた。
高すぎる天井は、どんなに手を伸ばしても届かない。届く気すらしない。

(もうすぐ行かないと昼休みが終わるな)

高く掲げた腕から時計の数字が見え、弓弦は小さく心の中で呟いた。
ゆっくり身体を起こし、真横に置いた昼寝に興じる前まで食べていた昼食を見やる。中途半端に食された完食されていない弁当。それが食べかけのまま放置され風に晒されている。
それらを一つにまとめてビニール袋に突っ込んで弓弦は立ち上がった。
ギィイ、と鳴る重たい扉を手前に引いて、青い青い空が視界いっぱいに広がる屋上を後にした。
無表情という言葉が当て嵌る表情で、無心に近い感情で、淡々と階段を下る。
コツ、コツ、コツ、コツという音が弓弦の道を彩る。
今の弓弦の心の内は、先ほどの雲一つない青空の様に無駄なものが一切ない波紋の一つもたっていないほど静かだった。
タンっ、と長く続いた屋上への階段の最後の段を下りきり、やっと弓弦の心に一粒の滴が落ちた。波紋がぽちゃんっ、と広がり足を止める。

先程、夢を見た。

懐かしい初等部時代の夢。
もうすぐ返ってくる自身の第二次性の結果に皆がウキウキと心を弾ませていたあの頃。
まだ自分は兄や姉と同様αなのだと信じていた時代。


『うわぁ。また100点? やっぱり押切君って凄いね』


返却された答案用紙を覗いたクラスメイト。今とそんなに変わらない周囲からの賞賛。


『絶対、押切はαだよなぁ』

『母さんは、お前は絶対βだよとか言うんだぜ。酷いと思わねえ?』


今と違ったのは、きっとアイツの存在と誰かを自身の内に置ける自分自身の心の在り様だったと思う。


『ゆづる、見ろ! 俺も100点!』


ちょっと生意気そうな顔をした、けれど既に完成された容姿を持つ男の子が後ろを振り向いてニヤっと笑う。
班目弘毅。
俺が勝手に突き放して、友人関係を断絶してしまった相手。
彼を脳裏に焼き付かせるように、そこで夢が途切れて意識が勝手に浮上した。


「何で、今さらあんな夢…」


弓弦は、空いている掌を広げてきゅっと握りこぶしを作った。
まだ鮮明に残っている眩しいくらいの奴の笑顔。
先程の静寂が嘘のように、心の中に次々と波紋が広がっていく。

(今さら…、。本当に、今さらだ)

夢の中の自分たちは、今では考えられないほど仲が良かった。知っている。そんなこと覚えている。でもあれは過去だ。過去でしかない。今みたいに顔を見合わせれば嫌味を言い合うような仲ではない、笑ってふざけ合っていた頃なんて…――。

(もし、あの時。自分の診断結果がαだったら、今もあの時の関係は続いていたのだろうか)

ふと生じてしまった疑問。

(…―――まあ、続いてたんだろうな)

簡単に出てきた迷いのない答え。
だってそれくらい、俺らは仲が良かったんだ。

(あ、…)

ぼーっと考え事をしながら歩いていたせいか、いつの間にか生徒会室へと辿りついていたようだ。目の前に現れた生徒会室の扉に弓弦は少しだけ目を瞬かせる。
それから今までの思考を一度端へと追いやって、少しだけ重苦しい扉をゆっくりと開けた。今日で現実逃避終了。
この学園の生徒会長に戻らなければ。


「あれ、押切」


最初に気が付いたのは満田。


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