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今日は6月の一大イベント、球技大会の日だ。
私はサッカーだったんだけど、初戦で負けてしまい、敗退となった。

チームメイトのみんなはツナがチームに入っているバレーを見に行くらしい。私は野球場で野球をやっているであろう山本の結果を見てから行くことに決めた。

いつもは女の子がたくさんいるはずの山本の試合も、ツナの影響で少し寂しい。
まあ、山本は気にならないというか、気付いてないだろうけど。

試合はすでに決勝。
3年との試合。
相手チームは野球部のレギュラーばかりで構成されたチームのよう。
流石の山本も歩が悪いらしく、3対6と負けていた。それにしてもなかなか健闘ではないだろうか。野球部レギュラーばかりの三年相手に三点差に抑えてるのはすごい。野球には詳しくないけれど、なんとなくわかる。

試合は九回の表。我がクラスの攻撃。バッターボックスに立つのは我がクラスのエース、山本だ。

「山本ーっ!!打てーっ!!」

余計なお世話だと思うけれど、応援せずにはいられない。

三年のピッチャーは大きく腕を振り、ボールを投げた。


速−−−


速いと思うよりも速く、そのボールは高く舞い上がっていた。
思わず目がボールを追っている。

うそ……。…山本、あんなに速い球を打ったの−?
野球は詳しくないけれど、すごいのはわかる。
山本の試合、ちゃんと見たことなかったけれど、あいつこんなにすごかったんだ。

ん……?
というか、山本の打った球……こっちに飛んできてない?

「ひやあああ…!!!!」

真っ直ぐこちらに飛んできた球は私のすぐ側に落下する。さながら爆撃のようだ。
思わず山本を見ると、ダイヤモンドを駆け抜けながらこちらを向いていた。片手をあげて詫びているのがうっすらと見える。
後でジュース奢ってもらおう。


結局、山本が放ったホームランの後に続くことが出来ず、試合は九回の表、4対6で負けてしまった。
コールドで負けてしまうと思っていたから驚きだ。一年で準優勝。なかなかいい結果じゃない。

「浜内!」

挨拶を終えた山本がこちらに走ってきた。私はそれを尻目に歩き始める。試合が終わった後、行くとこなんて一緒だろう。
ツナがレギュラーメンバーにいるバレーを見るために体育館だ。

「浜内、さっきの球当たってないか?」
「んー?危なかったけどね、当たってないよ」

私の言葉に山本はわりぃと余り悪いとは思ってなさそうに笑う。まあ、当たってないからジュースだけで許すつもりだ。

「後でジュース奢ってねー」
「りょーかい!」

山本と話していると体育館に着いた。やはりかなり人がいる。

どれどれ、ツナはどうなって……。

「浜内…?どうし−−」

私の後ろについて体育館に足を踏み入れた山本が黙る。
というか、唖然とした。
私も、山本も、この場にいるみんなが。

なぜなら、ツナがバレーコートのネットを越えるほどの跳躍をしたからだ。
もうそれ、運動神経とかじゃないよ。ツナって何者!?

思考する私の気持ちなんて気にかけた様子もなく、山本は暢気に「すげー」と笑っていた。