15万リクエスト | ナノ

まほうのことば


ヌメロンコードで人間になったベクターと私はそれなりのいざこざを経て、付き合うという形に落ち着いた。
でもベクターったら、全然好きって言ってくれなくて正直悩んでる。もしかして私、魅力ないのかな…?

「ねぇーベクター!」

ベッドの上にいるはずのベクターに声をかけてみる。しかし返答はない。なんでだろうと首を巡らせると、彼はベッドの上で穏やかな寝息をたてていた。

「寝てる……」

一瞬だけつまらないなーと思ったが、いいことを思い付いた。私はベクターの耳元に口を寄せ、そっと囁く。

「ベクターは私が好き」

その言葉にベクターは身をよじる。言ってくれるまでやめないんだから。私はもっとはっきりと言葉にした。

「ベ、ク、ターは、わ、た、し、の、こ、と、が、す、き」
「んっ……おれ、は…」

反応がある!
なかなかいい考えじゃない。これならベクターだって私に好きって言ってくれるはず。

「ベクターは私が、すーき」
「おれ、は……名前が……」

よし!あと少しだ!
もう少しでベクターは私を好きって言ってくれる!
ちょっと強引かもしれないけれど、ベクターも寝てるし私が満足できたらそれでいいんだもん。

「ベクターはー……」
「それで満足できるなんて安い女だなぁ…お前」
「ひゃっ!!」

至近距離にあったベクターの目が開いた。私は思わず飛び退いてしまう。

ちょっと待って、いつから起きていたわけ!?

「言っとくけどな、最初から起きてたぜぇ…?」
「なっ」

にやり、ベクターの口角が意地悪げに上がる。何か文句を言ってやりたいのに、上手く言葉にならないし、多分言えても言い訳にしかならない。

「おいおい、名前ちゃんは寝てる俺に好きって言われただけで満足なのかよ」
「う、うるさいなっ!私の勝手じゃな…んぐっ」
「ちょっと黙れ……よ」

ベクターの紫色の瞳が私を射抜く。荒々しい口付けは捕食されているような気分になる。でも嫌な気分じゃない。

「仕方ねぇから言ってやろうか?起きてる俺がなぁ!ヒャハハ!」
「ずっと起きてたくせに!!」
「文句言ってんじゃねぇよ……言われたいくせに」

ベクターは私の腕を掴み、易々とベッドに組み敷いた。気付いたらベクターに見下ろされている?

「おいおい、怯えてんじゃねぇか」

また楽しそうに笑い声をあげるベクターだが、何も言い返せない。そのまま私の耳に口を寄せたベクターはそこを優しく噛みながら

「俺は名前が好きだぜ」

と囁いてくる。
甘い痛みと優しい声音に頭の中まで蕩けてしまいそう。私が身震いをすればまたベクターは笑い声をあげた。



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リクエスト第二十二段はももこ様リクエストの「寝ているベクターに悪戯」でしたー

夢主からキスさせれなくてごめんなさい(′・ω・`)

リクエストありがとうございました!