15万リクエスト | ナノ

終戦の恋歌


終わった。全ての戦いが。
だからこそ今私の目の前にカイトくんはいるし、触れることだって出来る。

「カ、イト、くん……!!」

私は耐えきれずカイトくんに飛び付いた。
紫色に染められていた世界は、今やもう元の世界に戻っている。

「ああ、ただいま」

いつもはそっけないカイトくんが返事をしてくれた。きっと、私の気持ちを察してくれたんだ。

私はデュエルが出来ない。
だから、見送ることしかできなかった。
無力で役立たずで、この安全な部屋の中でカイトくんの無事を祈ることしか出来ない。

「怖かった……怖かったよ……!!」

たった少し、短い間しか離れていなかったはずなのに、もう何年も会っていなかった時のような気持ち。
カイトくんの存在を感じることができなくて、いつもなら会いに行けばいいだけなのに、それもできなくて。会えなくて。でも泣いてはいけないような気がして、泣くのだけは我慢し、ただ身勝手に無事だけを祈った。

世界は滅んでいいから、私からカイトくんを奪わないでって。

「泣いてるのか?名前…」
「だって、だって、カイトくんが…!!」

きっと私は後悔していたんだ。こんなことになるなら、すぐ言っておけばよかった。

カイトくんが死んでも私は、きっと納得はしたんだ。
彼が望んだ死に場所なのだから。喜んで然るべきなのだ。

でも、後悔がそれすらも受け入れなかった。

私、言ってないもの。

「カイトくん…………私、カイトくんが好きなの」

そう、この告白を。

カイトくんの体はその言葉に揺れた。驚いてる。わかってた。でも、言わなきゃって思ったから。

いつ離れ離れになるか分からない。それを知った今だから、告白に躊躇いはなかった。
言えなくて別れるぐらいなら、少しぐらい強引になっても大丈夫。この恋に後悔だけはしたくないから。

「名前……俺は…」
「いいの…今のカイトくんには…私がそういう対象じゃないってことは分かってるから」
「すまない…」

知ってる。知ってたんだ。
失恋とは違う答え。知ってたんだ。こういう答えが出ることぐらい。知ってたよ。全部。

「名前…俺はきちんと答えを出す」

言って私を抱きしめた腕は力強かった。溢れ出しそうになる涙を必死に食い止める。でも止められなかった涙が頬を濡らした。

「だから、もう少しだけ待っていてくれ」

もう何も答えられなくて、私はカイトくんの腕の中で必死に首を振る。彼の軽く笑む声を聞き、私は確かに存在する幸せに身を委ねた。


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リクエスト第二十弾はミュウ様リクエストの「戦いの後にカイトに告白」でした!

まさかの返事保留にしましたw
楽しんでいただけたら幸いです!

リクエストありがとうございました!