15万リクエスト | ナノ

フェ・ディヴェール・ベーゼ


「ベクター様ぁ。ちゅーしましょう。ちゅー」
「あ゛?」

名前はバカみたいな笑顔を浮かべながら言う。そして俺の顔に自分の顔を寄せてきた。

肌と肌がくっつく。だがしかし、なんの感動も生まれない。どうらや名前も同じことを考えていたらしい。うーん と考えはじめる名前は放っておいて俺は人間態に変身した。

つまりこういうことなんだろ。バリアン態の俺たちに口はない。だからキスなんてできないんだよ。
折角 人間態になれるんだ。ならなきゃ損だろ。
つーか「キス」なんて人間の文化を、真似しようとするなんてバカらしいな。まあ、面白そうだからいいけどな。

「あー!そっか!」

人間態の俺を見た名前も人間態になる。これでいっぱいいっぱいちゅーできるね と笑うこいつは無邪気で無垢で、どこか暴力的なまでに扇情的だ。これを無意識下でやるこいつは質が悪い悪女みたいなものだろう。

名前は身を乗り出し俺の頬に口づける。負けじと瞼にキスしてやれば彼女は照れたように笑った。

「次は私ー!」

俺に引っ付きながら名前は背伸びをする。キスされたのは額。ゆるゆるの笑みを浮かべたから鼻頭に唇を落としてやった。
名前はまた無邪気に笑う。こいつはキスの意味を分かってねぇ。ただ興味があることを試してるだけなんだろう。

それがやけにムカついて、俺は名前の耳に噛みついた。

「あ、やっ……」
「キス、してぇんだよなぁ…?」
「う、んっ。こ、れもちゅー……?」

本当にこいつは。何も知らねぇくせにこんな嘘つきに答えを求めやがって。

俺が耳をリップ音とともに舐めてやると、名前の小さな四肢がびくりと跳ねる。
中まで舌を差し込めば彼女は俺の服をぎゅっと握った。

「あ、うっん……あぁ……」

小刻みに漏れる喘ぎ声と、無防備に揺れる身体は、どう考えても俺を誘っているとしか思えない。だがしかしまぁ、こんなぐらいでプツリと逝ってしまう理性ではない。

「あはは………ちゅーって、んんっ、しゅごーい………」

舌足らずにそう溢す名前は俺の耳に噛みついてきた。お返しだよ と囁いてくる声が、俺の粘膜を犯す。たまらず彼女を押し倒し首元に吸い付けばまた名前は笑った。

「あははっ、んぁっ…ちゅーって、ふわぁっ、楽しいね……」

彼女は俺の頭を抱き締めて、唇に唇を重ねる。

「大好きだよ」

その告白は俺に対してなのかキスに対してなのか。分からないけれど、今はそんなことどうでもいいから、お互いを味わっていたかった。


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リクエスト第十九段は莉子様リクエストの「真ベクと色んなキス」でした!

いっぱいいっぱいキスさせました!!!

リクエストありがとうございました!