優柔不断のトラベラーズ
※現パロのためしゃべり方が現代向けに改変してます。「〜殿」呼びとかしてない
「うわー綺麗な旅館」
私と郭嘉と賈ク、さらに、徐庶と法正は今京都に来ている。同じ大学出身な私たちがずっと予定していた旅行だ。
私と賈ク以外のみんなは違う企業に就職し、バラバラになってしまったけれど、郭嘉からは毎日のようにメールが来るし、こうやって何か予定を立てては集まるのが日常的になってきたため、あまり寂しくはない。
「あははあ。名前は分かりやすいねぇ。さあ、チェックインしようか」
賈クは旅館を目の前にしてワクワクしている私の頭をポンッと撫でてエントランスに向かう。子供扱いされてるみたいでムカつくけど、やっぱり賈クは大人。
「名前さん、荷物は俺が持ちますよ」
「え、あっ、法正っ」
法正は私の手にしていた旅行鞄を有無を言わせないようにひったくっていく。気が利くと言うかなんと言うか、あいつ、優しいんだけど暴君なんだよな。あとあいつが私の鞄持っていると何されるか分かんなくて怖い。
「流石にそれは悪いよ、法正っ!」
「あまり気にしないでください。これはただの恩返しの一貫ですからね」
法正はニヤリと口角を上げた。私こいつに何かしちゃったっけ。確かに法正は恩だの仇だのをやけに根に持つタイプだけど、私がこいつに恩を抱かれることをした覚えがない。無意識的に何かをしていたなら、どうしようもないけれど。
彼は私の荷物と自分の荷物を手にし、スタスタとエントランスに向かっていってしまう。なんで早歩きなの。別にあんたの恩返しは止めないわよ。
「えーと、大丈夫かい?」
呆然と立ち竦む私に優しく声をかけてくれたのは徐庶だった。
徐庶はこのメンバーの中で一番私に優しい。生真面目で物腰柔らか。もし性転換したらお嫁さんにしたいです。
「うん、大丈夫。ただちょっと法正が意味分かんなくてびっくりしただけ」
「あ、ああ、法正が、ね。うん、まあ、彼はよく分からないのが普通だから」
「うわー、言ったね、徐庶」
「え!? あ!ほ、法正には内緒にしていてくれないかな…?」
捨てられた犬のように見上げられては拒否できない。大丈夫、言わないよ。と優しく言えば、徐庶は安堵のため息を漏らした。
「じゃあ、先に荷物置いてくるね」
徐庶は私に手を振って旅館に入っていく。私もそろそろ中に入ろうと思って歩き出せば、後ろから肩を叩かれた。
「名前と私は同室にしようか」
「いやよ」
「つれないね、名前」
肩を叩いてきたのは郭嘉。こいつは昔っからこんな感じで、とりあえず女の子を見れば口説きはじめる。
ホストにでもなるのかと思っていたのに、頭がすごくいいから今や一流企業のエリートだ。ホストでもやっていけたと思うけど。
私は流石に口説かれなれているから、流すのは造作もない。
「あんたと寝るぐらいなら法正と寝る」
「まったく、不当な扱いだね、君は」
「てか誰とも寝ないから。もしあんたら四人のうち誰かと寝なきゃいけないなら私は賈クを選ぶわ。なんの間違いも起きなさそうだし」
「信用され過ぎてるというのもなかなか辛いものだね、賈ク」
別になにもしないよ。郭嘉の言葉は信用ならない。なにもしないなんて奇跡的な確率だ。大学時代にどれだけあんたの悪い噂を聞いてきたと思うの?
「まあ、拒否されるのも悪くない。ゆっくりと私に身を委ねるようにすればいいだけの話だからね」
「うっ……」
郭嘉はウィンクを一つし、旅館の中に入っていく。
すごい身の危険を感じたけれど、今さら帰れるわけはない。
諦めた私は深いため息を漏らし、旅館に向けて足を踏み出した。
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リクエスト第十七段はたまえさんリクエストの「軍師組と現パロで旅行」でしたー
うわー
旅館に入るだけの話www
リクエストありがとうございました!