ゆうやけこやけ



※真月≠ベクター


「そろそろ、試験が近いですね」

下校中、隣を歩く零くんが呟いた。彼は転校生で、そして私の彼氏だ。二週間前に零くんに告白されて、それから付き合っている。私も、零くんが好きだったから。

「そうだね」

私がそう返せば、零くんは小さくため息を吐いた。私も気持ちナーバスになる。
試験なんて、テストなんて好きな人はいるのだろうか。少なくとも私は大嫌いだ。

「零くん、言わないでよ」

「考えたくなかったんだから」と続ければ、零くんはこちらを向き、あからさまに慌てた。「え、あ、えと」何か言葉にしようと頑張っているみたいだが、テンパって言葉にならないみたい。「大丈夫?」と顔を覗き込めば、零くんはゆでダコみたいに真っ赤になった。

「ち、近いです……」

彼が言った言葉にはっとした。確かに近い。私の顔が、熱くなるのを感じる。多分、私も真っ赤だ。

「ご、ごめん…」
「い、いえ!別に謝るようなことじゃ!」
「で、でも!」
「大丈夫です!」
「本当にごめんね!」

私も真月くんも譲らなくて、変な言い合いになってしまった。真っ赤な顔して、何を言い合っているのだろう。思えば可笑しくて、どちらともなく笑い出してしまった。

しばらく笑いながら歩いて、それが途切れた時、私はまたテストのことを思い出してしまった。それはどうやら零くんも同じ見たいで、顔を合わせて苦笑する。

「よかれと思って、勉強会しませんか?」
「勉強会って言って集まって、ろくに勉強したこと無いんだけど大丈夫かな?」
「え!?」
「え、零くんはするの?」
「しますよ。折角の勉強会ですし」

正論を言われてしまえば、ぐぅの音も出ない。それに、私も零くんと勉強会したいし。断る理由もないかな。

「じゃあ、勉強会しようか」
「はい!」
「私が他事しかけたら零くんが止めてね?」
「が、頑張ります!」
「私の家で勉強しよ?」

零くんは華やかに笑って、私の手を握ってきた。一瞬ビックリするが、嫌じゃない。心配そうな目で見つめてくる零くんに、私は微笑む。するともう一度零くんは笑ってくれた。

「よかれと思って、名前さんの家まで手を繋いでいきましょう」
「うん。そうしよっか」

ぎゅっと手を握り返し、歩き出す。速くなる鼓動が、どこか心地よかった。


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匿名様リクエストの真月学生モノほのぼの甘です!

ほのぼの……になっていますでしょうか?
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

この度はリクエストありがとうございました!