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何とかマフィアが居た住宅街から抜け出し、迎えの待つ地区まで来たところで背後から声がかかった。

「キル、イロハ、随分派手にやったようだね」

「あ、アニキ…」
「…」

本気を出したイルミ兄さんの気配は希薄で読み取りづらい。こんなに近くに居ても、朧げでしか感じないのは、きっと絶を使った状態だからに他ならない。

(でも、あの人はもっとキレイにけしてたからまだまだ…)

前世で肩を並べた相方を思い出し、そっと息を吐く。
イルミ兄さんには悪いが、私はキルアを殺人人形にさせる気はない。
だから、イルミ兄さんを超すのが当面の私の目標だったりする。

「マフィアが来たのは誤算だったな。逃げ出した事は今のお前達なら当然。だけどこれからはマフィア位潰せる力はつけてもらうから、そのつもりでいるように」

そう言ってイルミ兄さんは、私達の頭を撫でると先に車に乗り込んだ。

「イロハ、平気、か?」

「ん、取り敢えず、怒られた訳じゃないから…」

頭を撫でる際に感じた僅かな圧力は、イルミ兄さんが纏をしたから。忠告と言ったところだろう。

殺気には慣れている私だからこんなものだろうけど、キルアにはかなりのプレッシャーだったに違いない。

「キルアこそ大丈夫?」

きゅっとキルアの手を握れば、キルアはビクリとして私を見た。

「平気さ、アルカとの約束があるんだ。アニキに負けていられない」
「うん。帰ったら、また修行しよう」

お互いにひやりとした任務だった。だけど、得るものはあった。

私はやっぱり、前世に比べると体力も忍術のキレも落ちてしまっているのを痛感したので、とにかく修行の量を今より上げる事を誓った。



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