湿原2
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ゴンがレオリオの声に反応して行ってしまった。

「ったく、近付くなっ、つったのに。ユラギ、オレ等はこのまま行くぞ」
「あっ、うん」

ゴンなら平気だ。ヒソカに合格を言われて助かるのを知ってる。だからキルアの声に頷き行こうと踵を返したところで師匠の言葉を思い出す。

"息子の成長を報告してくれ"

つまり、ゴンの側にいなければ報告出来ない。否、原作を知ってるからそれを言う…でも師匠に実際見ていない事がばれる可能性はある。すると修行と言う地獄に堕ちるのは間違いない。

「っ!キルア、これ持って先に行ってて。俺ちょっと様子見てくる」

「はあ!?マジかよ?」

案の定驚くキルアに無茶はしないからと小さな小袋を渡すと、手を振ってさっさとゴンの気配を追い掛けた。
本当ならヒソカになんか近付きたくない。自殺行為だから。だけど、師匠も恐い。よって長く続く苦痛より、ヒソカの様に一瞬の苦痛のがマシだと思ってしまったのは、きっと私の頭がおかしくなってしまったせいに違いない。

ゴンを追い掛けて数秒で追い付いた私。だけど、声はまだ掛けない。
絶状態で息を殺してばれない様にゴンが見えるギリギリの距離を取ったところで血の臭いがした。

ゴンは立ち止まると竿を構えた。
霧が濃くてこの距離でゴンより先の物は見えないけど、ヒソカが居る。
そう思った私は近くにあった木の上に上る。どう考えても木が細すぎて身体が隠れるか不安だったからだ。

ドコッ

「ゴン!?」

何かがぶつかる音に続いて驚く気配とレオリオの声。ヒソカにどうやら釣竿がヒットしたようだ。
だけど、その後聞こえた鈍い音、レオリオが殴られた物だろう。

するとゴンが動いた。
姿が見えなくなった事で私は若干焦り木から降り立つ。

「仲間を助けにきたのかい?いいコだね〜〜〜〜〜

ヒソカの楽しそうな声。
視界にはゴンの首を捕らえているのが入る。
良かった。原作の通りだった。

そう安心した瞬間、この後ゴンを離す筈がそのまま持ち上げていた。

「大丈夫、殺しちゃいないよ彼は合格だから

「くっ…!」

台詞は聞いた事があるから本当にレオリオは生きてると思う。だけど何故かゴンは首を絞められている。

どうして!?ゴンは合格じゃ…

「さて、残りのコはどうかな

何を言ってる?そんなの知らない。こうして考えている間にもゴンの首は絞まってしまう。
考えても仕方ない。私は気配をそのままに旅の最中護身用に作った木刀を構えてヒソカに無心で走り近付くと振りかぶる。

ゴッ
めきっ、と横に叩いた木刀が音を立てる中私は後悔した。
ヒソカ相手に念なしの戦いはありえない。だけど、不意を突くためにはどうしても絶が必要だった為、念でガードしなかった木刀は割れてしまい捨てざるおえなくなってしまった。

「みぃつけた

「ごほっ」

私を認識したヒソカは直ぐにゴンを離していたみたいだ。咳込むゴンの気配がしたから。
それと同時にヒソカの行動が原作と違った理由を理解した。
直ぐにヒソカと距離をバックステップで取った後、睨み付ける。

「…何で分かった」
(目的は私をあぶり出す為か)

「そうだね、勘、かな

ニヤリと笑うヒソカにどうやら私の気配は本当に気付いてなかったらしい。ただ、単に彼等にまだ仲間が居ると考えていただけの様。

「うん!君達も合格いいハンターになりなよ

そう言ってニッコリと笑ったヒソカに私は師匠とは違う恐怖を感じた。
その後直ぐに掛かってきた仲間らしい人からの連絡に、屈んで私を観察していたヒソカは腰をあげてゴンを見た。
お互い持つべきものは仲間だね
なんて笑いながら。

「君達だけで戻れるかい?」

「…ああ」

ヒソカの問いにゴンは頷き、私は言葉を返した。

「いいコだ

そうして去ったヒソカの背中にゴンはへたり込み、私も漸く気配を元に戻した。

偽の試験合格

「ゴン!?ユラギ!?」

「クラピカ!良かった無事だったんだ」




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