到着
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「1万人に一人。ここにたどり着くまでの倍率さ」

新人にしちゃ上出来だ。含んだ言い方に、よっぽど難関な試験なんだと分かるのだけど、あっさり来てしまった私は、ポカンとするしかない。まあ、それは主人公組だから仕方ないのだけど、私が合流した時点でそもそも原作とは違うと言うのが分かる。もしかしたら、逆に受からなくなってしまうなんてオチもあるかもしれない。

ウイー…ン

動き出したエレベーターの中、クラピカのルーキー合格率を聞かされて、とたん、先程までの自分の考えを甘く見ていたと思い知らされ…、やっぱり、帰りたくなってしまった。もしや、イレギュラーな私自身が死亡なんて事が有り得るからだ。

「俺、生きて帰れるかな…」

遠い目をして呟いた声に、レオリオはギョッと私を見てきた。

「なんだよユラギ、今更ビビってんのかよ」

「うっ…仕方ないじゃん。俺そもそもハンター目指して来た訳じゃねぇし」

正直な所、師匠が言わなきゃ受けるつもりなかった。だから、ビビって当たり前なんだ。

「は?じゃあなんでハンター試験を受けに来たんだよ!?」

案の定、食いついてきたレオリオに、私は正直に言うか一瞬迷った。が、ふとクラピカと目が合い、言いたくなった。
クラピカは一族の為にハンターを目指しているんだ。命を掛けて。
なら、命掛けがどんなものか分かる私は、クラピカに協力出来ないから、早めに教えておこう。

「死ぬのが怖いからだよ」

発した一言に、一瞬静まる空気。まさかこんな言葉を言うなんて、思っても無かったんだろう。三人が目を見開いた。

「普通逆じゃないのか?」

直ぐに切り返したのはクラピカで、冷静に言葉を返された。そんなクラピカを見て、私はふ…と笑う。

「ホントに死にかけた事があるからさ」

師匠との生活は正にそれだった。だから、暫く離れる口実としてはうってつけ…

「でもさ、何でみんなはそんな大変な目にあってまでハンターになりたいのなかなぁ」

またしても遠い目をしかけた私に、クラピカは神妙な顔になり、レオリオも何だか可哀相な物を見る目になった。そんな微妙な空気を破るように、ゴンは純粋な質問をしてきた。
おお、流石師匠の子供。私の話を上手く流しよる。

なんて思いつつ、空気が変わった事にちょこっとホッとした。どうも自分の話しをするのは苦手だからだ。

「お前、本当に何も知らねーでテスト受けに来たのか!?」

今更な質問過ぎるのだろう。レオリオは唾を飛ばしながらゴンに向かって怒鳴っていた。クラピカも呆れた様な目でゴンを見ている。
「ハンターはこの世で最ももうかる「気高い」仕事なんだぜ「なのだよ」!!」

二人一緒になって叫んだ言葉はてんですれ違っていた。


すれ違いの意見


私はまだハンターで何を目指すなんて決めてないよ

あれ、私って夢ないなぁ


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