姉俺僕 番外編



こんにちは、逢沢駆十歳です。

今日はボクが大好きなお姉さんの紹介をしようと思います。


お姉さんは近所に住むじょしだいせー?です。
性格はとっても明るくて、お料理が上手で、優しくて面白いです。
兄ちゃんがあんなにムキになってケンカができるたった一人の人だと思います。

お姉さんと一緒に暮らした一週間は、とても大事な思い出です。
それはきっと兄ちゃんにとっても。


「だーかーらーさーあ!ちょっと、ほんのちょっとで良いんだってば傑!」

「イヤだ」

「はぁ!?これの良さが分からないなんて頭おかしいんじゃないの?病院行く?」

「お前が行けお前が!おかしいのはそっちだろ!」

「残念ながら自覚してる末期な私には治療法なんてありませーん。さぁ大人しくウサ耳つけやがれ!」

「何が“さぁ”だ意味わかんねーんだよ!!」


今日もお姉さんの家は二人の騒ぎ声でにぎやかです。
ボクは大抵その様子を見守っています。けれどさみしいと思ったことは一度もありません。

いつもは『しっかりしていてイイコね』と大人から褒められる兄ちゃんが、お姉さんの前ではとても子どもっぽくなるのです。

いっこ上の兄ちゃんが、なんだか同い年のように感じられるこの時間がボクはとても好きだから。

口ではいつもキツイことを言っているけど、お姉さんとじゃれている兄ちゃんはスゴく嬉しそうだから。

そんな二人の幸せそうな様子を見ていられるのは、とても幸せなことなのです。


「ちっ…傑、強情な男はモテないよ?絶対似合うから、可愛いから私のためにウサギになれ!」

「イヤだ断るあきらめろ変態」

「んだとこのガキ…こうなったら…最終兵器弟、カモン!」

「え、ボク?」


ウサギの耳を手に抵抗する兄ちゃんの頭を掴んでいるお姉さんに呼ばれてびっくりしました。
な、なんだろう…。
どぎまぎしていると、お姉さんはいたずらっ子みたいな笑顔でボクに言いました。


「協力して駆!一緒に傑を可愛く変身させよう!」

「え」

「お前っ駆を使うなんてヒキョウだろ!?」

「ふっブラコンは本当においしいねざまぁ!ほら駆、早くはやく!兄ちゃんを捕まえろーっ」


…さっきさみしくないって言ったのはやっぱりウソだったみたいです。
お姉さんがボクに笑いかけてくれたとき、体があたたかくなってうれしかったから。


「駆ー!(傑に)飛び込んでおいで!」

「…はぁーいっ!!」

「待て駆…ってか何でお前も耳つけてるんだよ!」


お姉さんの笑い声につられてボクも笑う。
その後から兄ちゃんが呆れたように小さく笑う。


ボクはこの三人いっしょが一番大好きです。


とある弟の作文テーマ
(…ちょいまて駆、これ全体的に私の変態具合がヤバイんですけど。どうしてこうなった)
(事実を書いたまでだろ。な、駆)
(うん!こんど発表するんだー)
(あかーーーーん!!)




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