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「お、オレ…埼玉の、高校…転校す、るんだ」


「ッ…なら私も一緒に行く!」


「ふ、へ…!?」





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桜色づき春麗ら

芽吹きを告げる緩やかな風が少年の体を撫でていく



「俺も高校生か…」


と言っても感慨深い気にはならない。
なぜなら彼の通う三星学園は中高一貫全寮制。

殆どの生徒は知り合いで、外部生がまばらにいる程度。

よって緊張感など欠片もなく、力の抜けた欠伸が口をつく。


「今年から三橋はいないんだよな…」


少年は入学式よりも引っ越してしまった幼馴染みの方が気になっていた。


贔屓の一番と言われ続けて、チームを追い出された三橋廉。

本当は凄い才能の持ち主なのに、チームメイトはそれを認めなかった。


「県越えられたら試合もできねーじゃん…」



呟いても拾ってくれる存在はいない。
背中から哀愁を漂わせながら、少年は昔の光景を思い浮かべていく。



「…響、どうしてんだろ」


ふと、いつも三橋の隣にいたもう一人の幼馴染みを思い出した。

輝く太陽のような笑顔、呼び掛ける朗らかな声。
例えるなら夏に高く伸び上がる向日葵みたいな彼女―――


――三橋がいない事実を知ったら、彼女はどんな反応をするだろうか?


(溺愛してるからなー、"私もついてく!"とか言ったりして…)


泣き喚く姿が簡単に想像できてしまい、つい苦笑してしまう。


「まぁ流石にそれはないか!」


変な考えは取り払い、グラウンドに行こうと足を踏み出そうとした時だった。





「かっ叶ーーーー!!!!!!」




少年―――叶修悟は暖かな空間を引き裂く絶叫が轟いたことによって、踏み出そうとした一歩を空中に留められてしまった。



「みっ三橋?何だよ男子部まで来て…」


声の根源、三橋瑠里は廉の従兄弟である。
三つ編みしたおさげを盛大に揺らしながらこちらに走ってくるその表情は焦燥に満ちていた。


廉が転校したのは瑠里も知っているはず。

しかし息が上がっている彼女から発せられた言葉は全く別の内容だった。


「…っ響、響が!!いないの、どこにも…っ」


「は?ちょっと落ち着けよ、お前今まで一緒だったんじゃないのか?」


瑠里の不明瞭な発言に思わず粗雑な返答をしてしまう。
しかし負けじと返された反論は修悟の思考回路をショートさせるに充分すぎた。


「朝から姿が見えなくて、先生に聞いたら…

廉と一緒の高校に行ったって…!!」







………どうやら彼女はそこまでの馬鹿だったようです









(ぃっきし!)

(う、響…大丈夫…?)

(う゛ー平気へーき!誰かが噂してるのかもね。それより廉こそ大丈夫?野球部見るんでしょ)

(う、み、見な…い…よ)

(…ふーん?そっかぁ。じゃあ、私マネージャーやるつもりだからグラウンド行くね。廉は先に帰ってていいよー)

(!!みっ見るだけ!!)

(よし、そうと決まれば善は急げ!走るぞ廉!)

(うぁ…待っ)











やっちゃっいました連載
全く終わりの目処立ってないけどこれだけは言えます、泉落ちであると!


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