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ようやく体が自由を取り戻すと、ふらつく足を叱咤して家を飛び出す。
私は走った。
無我夢中で走った。
周りなんか見えない。
あの時、もう二度と傑に会えない気がした。
早く傑に追いつきたい。
この変な気分を話すから、バカだなって笑い飛ばして。
傑
会いたいよ
(何だろう、人だかりが出来てる)
傑が通るであろう通学路を駆けている途中で聞こえたざわめき。
道路を越えて出来ている人の群れに、心臓を抉るような痛みが一層強まった。
「……奈々?」
その中に見慣れた姿を見かけた気がしたので、足を止め人混みをくぐり抜ける。
はっきり彼女を確認出来る所まで進むと、元々白い顔を更に蒼白に染めていた。
「奈々!?どうしたの!?」
駆け寄って事情を伺うが、奈々は人形みたいに固い動きで私にしがみつく。
「…千鶴…駆が……傑さんがっ」
奈々の指差す方をゆっくり向く。
大きなトラックが車線とは垂直に歩道へ突っ込んでいて、
辺りには鉄材が散らばって、
酷く歪み原型を留めていない自転車は私も乗ったことがあって、
誰か
嘘だと言って
ねぇ
お願いだから
「かけ…す、ぐ、る……」
崩壊するシャングリラ
(きっとまだ夢を見ているだけ)
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