Fw:本文「君の一票」飛鳥2
「ん……?」
『……え、変わるんですか?姉さんと?』
「どうしたのゆーたん」
会話が止まる。何かあったのだろうか。
『鷹匠さんが……』
「却K『無理な相談だな』……はっ!この天敵がっ!!!!!!塵となって消えてしまえ!!!」
『誰が消えるか!!!ふんっ無理な相談だな』
いきなり険悪な顔になる。背中に黒い影を背負っているような感じにも見える。しかし周囲は気にしないことに決めた。だって会話が聞こえない。そもそも誰だよ天敵って!!
「あ、間違えた。海の藻屑となって消えてしまえ!」
『ひでぇな。オレと##NAME1##の関係で?』
「だからこそいうんだよ!てか愛しのゆーたんとの幸せタイム奪うな!!慰謝料を請K『バカかオマエ』……だまれバカ匠」
『わりぃな。##NAME1##の困りすぎてあたふたしてる様子を想像しているのが好きなんだ』
「なんだドSか。想像じゃねぇよ妄想だよ!!」
『さぁな』
「その受け答えがドSじゃい!!」
『##NAME1##は虐めがいがあるからな』
「わーサディスト!!変態っ!!!それより用は何なのよ」
ひとしきり叫んだ後、彼女は呼吸を整えた。そして本題に入る。
『雑誌みたんだろ?』
「現在進行形でね」
……やっぱりか。それしかないよなー。
「ダチのものだから後で買いに行くけどね」
ゆーたんがの出ているんだ。単独インタビューもあるんだ!永久保存版にするでしょ普通!!
『オレの手元にあるのは祐介の物だぞ?3冊もかってどうするんだ?保存するにも一冊余計だろ』
「ちょっ……変態!セクハラすんなやバカ匠!」
『ん?……祐介がすでに##NAME1##の分も買ってるんだとよ』
「ゆーたん大好き!」
気が利くなぁ。受話器の向こうでプレゼント、と弟の声が聞こえた。彼女はますます幸せに浸る。
「で?用がないならゆーたんに電話返せ!!貴様に用は……『大ありだ』……え」
なななっ、何の話?!……っとここで身構えたのがよくなかった。いい思い出が少ないからと動揺したのがいけなかった。避ける手はずもあったはずだ。もはや、後悔しても後の祭りだと気づくのはあとのお話!
『##NAME1##、……オマエ誰に入れた?』
部室中に機械を通した肉声が広がる。ななななんで?操作ミス……した?
『人気投票、祐介でもオレでもないだろ?』
「あ、あんたになんかに誰が票を入れるかバカ匠」
あ、冷静に返せた。
「そもそもなぜそれを知ってる……お主エスパーか!」
『ちげぇよ』
「じゃぁストーK『知ってるか。それを被害妄想と呼ぶんだってな』黙れセクハラ野郎!」
『ひでぇな。##NAME1##を困らせるのが趣味なんだ』
「真性のドS!?」
いつものように無駄な言い合いが広がる。脱線してしまえばしばらくそのままだ。過去の二人になにがあったのだろうか……はさておき。それは今、重要事項じゃない。だから、落ち着くようにと真屋が声をかけようとしたとき。
『##NAME1##は誰に入れた?』
繰り返された直接的な同じ質問に息を呑む。絶対に言えるはずがないじゃない!!
「だ……だだ誰だっていいでしょ?!!」
「記者からは飛鳥抜きの6人だと聞いてるんだけどよ」
多分、彼は知っているのだろう。葉陰で投票権をゲットしたのは……だからって、
「い、言える訳ないじゃない!」
知っているのは一緒にに票を入れたメンバーだ。それは今、ここにいる。雑誌を囲んで、一緒に部室にいる。彼らはもういいのだ。飛鳥がいない間にやったことで。怒るだろうなって共に内緒にしたから、すでに共犯だ。すでに成り下がったただの友人。しかも他校のバカ匠なんかに誰が教えるか!
「絶対絶対秘密だかんね!教えないっ」
電話の向こうの相手に向けて、はっきりと拒否を示したとき……。
「……それは残念だな」
後ろの気配が現れのたと電話の主が喉で笑ったのと同じ瞬間。
「……え」
振り向いた先には、携帯を耳に当てた友人が部室の扉をあけていた。
部室内に冷や汗が流れる。
「ななな……なな、なんで、いい……」
慌てふためく佐伯##NAME1##。
『なぁ、##NAME1##。頑張れよ。飛鳥もな』
楽しそうな鷹匠瑛。
「ああ。それはどうも」
少し不機嫌な飛鳥享。
プツリ。通話が途絶える音がした。少し遅れて、飛鳥も携帯をしまう。
「……で?問題の雑誌は?」
沈黙が降りる。笑ってない表情。緊張が走る。
「これか……?」
「……う、うん」
白鳥と二人一生懸命うなづいた。だって、電話が終わってからの飛鳥、不機嫌どころじゃないんだもん!なんかこう……殺気立ってたと言った方がいい。大月や鬼丸、蝦夷がどうしようと青ざめた顔を見合わせるが、どうもこうもしようがない。真屋は顔がひきつっている。もはや絶体絶命だ。鷹匠に仕組まれた……あんにゃろう特大パフェ奢りやがれ。
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