男って奴は | ナノ
第2話 







「ナギさんっ!どれもこれも…すっごく美味しいですっ!!」


色とりどりの料理は、どれも本当に美味しくて
それを頬張りながら隣のナギさんにお礼を言う。


「お前が、んなに喜ぶんなら作った甲斐があったな?」


ナギさんは口元で笑うと、そのままスッと立ち上がった。


「ちょっと待ってろ、」

「あ、……はい、」


手伝おうとする私を制して
ナギさんは厨房の奥へと入っていく。
少しすると。


「待たせたな、」
「?」


振り向いた私は、思わず目をみはっていた。



「うわぁ!すごいっ!!」
「俺からのプレゼントだ」


そこには、大きなイチゴのケーキを両手で持つナギさんが立っていて。


「これを…私のために?」
「ああ……お前イチゴ、好きだろ?」
「はいっ!大好きです!!!」


わたしは大きく頷いた。


「…んな力説しなくても、知ってるよ、」


ナギさんはテーブルの中央にケーキを置いて、私のデコを、コツンと突いた。


「あ」


私の顔も紅いだろうけど

ナギさんの顔も、心なしか紅い。


「あの。どうもありがとうございます、ナギさん」
「礼はいいからメシ食え。…ケーキはあとだ」


顔を逸らしてしまったナギさんに、もう一度お礼を言って
私はまた、目の前の料理を食べ始めた。



「ナギに先を越されてしまったね、」


ソウシ先生がナギさんを見て、クスリと笑う。
そして赤いリボンの巻かれた袋を、私の前に差し出した。


「それじゃ次は、私からのプレゼントを受け取ってくれるかい?」
「え、と……開けてもいいですか?」
「もちろん…。気に入って貰えるといいんだけど…」


照れたようなソウシ先生が、首の後ろに手を置く。
私はそれを受け取ると袋を破かないよう、丁寧に袋を開けていった。

そして目をパチパチさせる。


「うわっ!素敵ッッ!」


中には、お化粧セット一式が入っていた。


「ルルちゃんは、お肌も綺麗だから、お化粧の必要はないかもしれないけど…」
「いえっ!…そんな事はないですけど。…欲しかったんです、こういうの!」
「そ?だったら良かった」


ソウシ先生がホッとしたように笑いかける。


「じゃあ……こっちに来てくれるかい?」


そして私に向け手招きをした。
立ち上がった私は、ソウシ先生の向かい立つ。
すると先生は袋の中から紅い紅を取り出して
それを小指の先にチョンとつけると、息がかかるくらいまで、私に顔を近づけた。


「………っ」

「ちょっとじっとしててね?」


ツー…と唇をなぞる指先。
綺麗な顔が目の前にあって……心臓が爆発してしまいそう。

耐えきれず目を瞑ると。


「さすが天然の女たらしですね?」


シンさんの呆れた声が聞こえた。


「ふふっ、私が女たらしだなんて、心外だな…シン、」


ソウシ先生はサラリと言って、目を瞑る私の肩をポンと叩いた。


「さあ、できたよ。ルルちゃん」


目を開けるとポケットから取り出した手鏡を、私の前に差し出した。


「見てごらん?……とっても綺麗だ……」
「………」


それを受け取り、わたしは鏡を覗き込んだ。



「あ……綺麗……」


そこにはいつもの何倍も、大人っぽい自分が映っていて…。
自分の言葉に、思わず赤面してしまう。


「ほォ―…ずいぶん色っぽくなったじゃねえかよ」
「似合いますか?」


背もたれに凭れる船長が、口の端をニッと上げる。


「おお、よく似合うぜ?…なァ…ハヤテなんかやめて、俺の女になるか?」

「……なりませんよっ!!」


即答して、わたしはハヤテをチラと見る。

だけどハヤテの顔は……なんとなく不機嫌な顔。

私と一瞬目が合うと、ハヤテは目を横に逸らしてガツガツと料理を頬張り始めた。


何か怒らせたかな…

そう思って声をかけようとした、その時――

シンさんに名前を呼ばれた。


「何でしょうシンさん…」
「こっちへ来い、」


シンさんがココに座れと顎で指示する。
ハヤテと話したかったんだけど。
それでもわたしは、ソウシ先生にお礼を言って自分の席に戻った。



「俺からのプレゼントだ、有りがたく受けとれよ?」


席に着くとシンさんが、赤いリボンのかかる紺色の箱を、私の前に差し出した。


「え、と……ありがとうございます」
「礼はいいから、開けてみろ、」
「…はい、…」


シンさんに急かされ、おどおどしながら箱を開ける。


「……ッッうわっ……!」


そこには言葉をなくすほどの、綺麗な髪留めが入っていた。

シンさんのセンスの良さがよく分かる。


「どうだ?気に入ったか?」

「は、はいッすごく!こんな素敵なプレゼントをシンさん、ありがとうございます」


頭を下げてお礼を言うと。
シンさんは『後ろを向け』と…私の肩を両手で掴んで
ぐるんと向きを変えさせた。

シンさんに背中を向ける格好になる。



「あ、の……」
「じっとしてろ、」


威圧的な声に、じっと固まる。
何をするんだろうと思っていれば、シンさんの冷たい指先が首筋をかすめて。
ビクッとカラダが大きく跳ねた。

背後からククッと笑う声がする。

そのままシンさんは流暢な手つきで、私の髪を纏め始めた。









 
   






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