第4話
その日の昼。島の対岸に船をつけると
全員でボートに乗り込んだ。
「うおおおーーすげーー!」
「わぁーー!すごく綺麗な島ですね!」
手漕ぎボートが浅瀬まで来た途端、待ち切れねェとばかりに
ハヤテがボートから飛び降りた。
ほら来いよ、と、手を引かれ、トワも海に飛び降りる。
そのまま2人はジャブジャブと、島に向けて走り去った。
「アイツらガキか!」
その背中を見送るシンが、すぐさまチッと舌打ちをする。
「そんなにカリカリしないんだよ、シン…」
「つか。アイツらボートも引き上げねェで…」
「……ほら、ナギも…」
苦笑するソウシと、ちらっと目が合う。
俺たちは口元だけで、笑い合った。
着いた島は本当に小さい島だった。
辺りはしんと静まり返り、茂る緑が涼しげな陰を作っている。
浜辺の砂は真っ白で、それは眩しいほどに輝いている。
「思った以上に綺麗なとこだな」
そんな島を眺めながら、それでも浅瀬にボートを寄せ
野郎4人で引き上げた。
*
上陸してすぐ、周囲を見渡す。
―― 人がいるような、気配はない。
あるのは、背後に茂る小さい森と。前に広がる、青い海だけ。
はしゃぐ2人を呼び寄せると、クルーの前で腕を組んだ。
「見ての通り、猛獣や人間がここに居るとは思えねェ。
…けど、用心するに越したことはねェからな。今から各自、偵察に行って貰う」
荷物をボートから降ろすより先。ソウシとシンには、背後の森を。
ナギとハヤテ、トワの3人には、左右に別れて海岸を。
各自、偵察に行かせた。
浜辺に残ったおれと●●●は、木陰を見つけて腰を下ろした。
「ホントに素敵なところですね?」
隣に●●●が腰を下ろす。
「おー…そうだな」
すぐさまオレは、細い腰に腕を回した。
コイツが喜ぶなら、寄った甲斐があったな。
そんな事を思いつつ。
朝から気になってたあることを、さらりと聞いた。
「あれ、持ってきたか?」
●●●は「アレですか?」っと首を傾げる。
それから「あ!」と立ち上り、ボートまで行って、鞄を抱えて戻ってきた。
「ちゃんと持ってきましたよ?」
ふふ…っと笑って、また隣に腰を下ろす。
鞄のチャックをジィィー‥と開けて。
「ほら♪」
中から、それを取り出した。
「お!…これだこれ!ちゃんとしまってあったんだな?」
●●●が中から取り出したのは、去年買った、白のビキニ。
りゾート島で、2人で選んで買ったヤツだ。
そン時は、雨に降られたり、おれが酒に付き合わせたりで、着る機会は1度もなく
●●●も残念がってヤツだった。
「ふふ、…ちゃんと仕舞ってありましたよ♪…けど…着れるかどうか心配で…」
「なんでだ?」
問うと●●●は、二の腕を指で摘んで見せた。
「だって、太ったかもしれないし…」
そしてそれを、ふにふに動かす。
「太ったか?…おれにはそうは見えねーが?」
「ほんと?…でも、ナギさんのごはん、美味しいから…」
絶対に太ったー!とか言って
腕の肉や尻の肉を、困ったようにふにふに摘む。
俺に言わせりゃ、それは太ったとかじゃなく。
単にこの1年で、少女からオンナになっただけだと思うが?
そう。…腰の辺りとか…胸の辺りとか……
けど、それを言うと、エッチ!とか、もう着ねェとか、言い出すと困るから、言わねーけど。
とにかく俺は、●●●のビキニ姿を拝める事と、それをアイツらに見せびらかせるのが楽しみで
心の中でニタリと笑った。
そうこうするうち、1人、また1人と、野郎がここに戻ってくる。
そしてその報告は案の定。
危険もねェし、人もいないと言う、まあ思ったとおりの報告だった。
だからおれは、どっこらせと腰を上げて。
「よぉぉーーし!
全員水着に着替えるぞぉぉぉぉぉ!」
おおおおおおぉぉぉ!!!!
乗り気じゃねーのが2人ばかしいた気がするが
まあそれは、気にしねェ。
※
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