第4話






その日の昼。島の対岸に船をつけると
全員でボートに乗り込んだ。


「うおおおーーすげーー!」
「わぁーー!すごく綺麗な島ですね!」

手漕ぎボートが浅瀬まで来た途端、待ち切れねェとばかりに
ハヤテがボートから飛び降りた。
ほら来いよ、と、手を引かれ、トワも海に飛び降りる。
そのまま2人はジャブジャブと、島に向けて走り去った。


「アイツらガキか!」

その背中を見送るシンが、すぐさまチッと舌打ちをする。

「そんなにカリカリしないんだよ、シン…」
「つか。アイツらボートも引き上げねェで…」
「……ほら、ナギも…」

苦笑するソウシと、ちらっと目が合う。
俺たちは口元だけで、笑い合った。



着いた島は本当に小さい島だった。
辺りはしんと静まり返り、茂る緑が涼しげな陰を作っている。
浜辺の砂は真っ白で、それは眩しいほどに輝いている。

「思った以上に綺麗なとこだな」

そんな島を眺めながら、それでも浅瀬にボートを寄せ
野郎4人で引き上げた。





上陸してすぐ、周囲を見渡す。
―― 人がいるような、気配はない。
あるのは、背後に茂る小さい森と。前に広がる、青い海だけ。
はしゃぐ2人を呼び寄せると、クルーの前で腕を組んだ。


「見ての通り、猛獣や人間がここに居るとは思えねェ。
…けど、用心するに越したことはねェからな。今から各自、偵察に行って貰う」


荷物をボートから降ろすより先。ソウシとシンには、背後の森を。
ナギとハヤテ、トワの3人には、左右に別れて海岸を。
各自、偵察に行かせた。
浜辺に残ったおれと●●●は、木陰を見つけて腰を下ろした。




「ホントに素敵なところですね?」

隣に●●●が腰を下ろす。

「おー…そうだな」

すぐさまオレは、細い腰に腕を回した。
コイツが喜ぶなら、寄った甲斐があったな。
そんな事を思いつつ。
朝から気になってたあることを、さらりと聞いた。

「あれ、持ってきたか?」

●●●は「アレですか?」っと首を傾げる。
それから「あ!」と立ち上り、ボートまで行って、鞄を抱えて戻ってきた。

「ちゃんと持ってきましたよ?」

ふふ…っと笑って、また隣に腰を下ろす。
鞄のチャックをジィィー‥と開けて。

「ほら♪」

中から、それを取り出した。

「お!…これだこれ!ちゃんとしまってあったんだな?」

●●●が中から取り出したのは、去年買った、白のビキニ。
りゾート島で、2人で選んで買ったヤツだ。
そン時は、雨に降られたり、おれが酒に付き合わせたりで、着る機会は1度もなく
●●●も残念がってヤツだった。

「ふふ、…ちゃんと仕舞ってありましたよ♪…けど…着れるかどうか心配で…」
「なんでだ?」

問うと●●●は、二の腕を指で摘んで見せた。

「だって、太ったかもしれないし…」

そしてそれを、ふにふに動かす。

「太ったか?…おれにはそうは見えねーが?」
「ほんと?…でも、ナギさんのごはん、美味しいから…」

絶対に太ったー!とか言って
腕の肉や尻の肉を、困ったようにふにふに摘む。

俺に言わせりゃ、それは太ったとかじゃなく。
単にこの1年で、少女からオンナになっただけだと思うが?

そう。…腰の辺りとか…胸の辺りとか……

けど、それを言うと、エッチ!とか、もう着ねェとか、言い出すと困るから、言わねーけど。
とにかく俺は、●●●のビキニ姿を拝める事と、それをアイツらに見せびらかせるのが楽しみで
心の中でニタリと笑った。


そうこうするうち、1人、また1人と、野郎がここに戻ってくる。
そしてその報告は案の定。
危険もねェし、人もいないと言う、まあ思ったとおりの報告だった。

だからおれは、どっこらせと腰を上げて。



「よぉぉーーし!

全員水着に着替えるぞぉぉぉぉぉ!」


おおおおおおぉぉぉ!!!!


乗り気じゃねーのが2人ばかしいた気がするが


まあそれは、気にしねェ。







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