第7話




「静かで気持ちがイイですね♪」

1歩先を歩く●●●が、跳ねるようにして振り向いた。
歩き出したとき繋いだ手は、今もずっと繋いだまま。
…俺たちはメシを食った所から東へ向かって、浜辺をゆったり歩いていた。


「なんせここは誰も知らねー島だからな」

さっきまで聞こていた野郎たちのうるせェ声も
今はもう、聞こてこねェ。
聞こえるのは、打ち寄せる波音。

そんな俺たちの後ろには、道なりに点々と…
2人分の足跡だけ。


「ふふ……」

2、3歩先を跳ねていた●●●が、なぜか不意に足を止めた。
その目が周囲を、ぐるっと見る。





「……なんだか…淋しい…」

 ―― ぽつり。
まさにそんな風に突然こぼした思ってもみねェ言葉に
思わずオレは首を傾げた。

「淋しいか?」

追いついて隣に並べば、●●●は黙って
もう1度周囲を、ぐるっと見る。


「うん。だってこの島。…私たちが居なくなったら…誰も居なくなるんでしょ?
…こんなに素敵な島なのに…」

目を細める横顔を、視線を落として横目で見た。


確かにな――

「こんな小せえ島じゃ…立ち寄るヤツなんか居ねーかもな」


海図にも載ってねェ、小さい島。
俺たちより先、上陸した奴が居たかどうかも分からねェ。
そしてこの先も――
よほどの偶然が重ならない限り、見つかる事は無いだろう…


暫く沈黙が続いたあと、突然●●●は振り向いて
それからニコッと笑いかけた。

「それでイイのかもしれませんね?」
「ん?どうした、急に」
「だって、人が沢山きて、島が荒らされても悲しいし。
……うん、このままずっと、誰にも見つからなければいい…」

ね?っと、独り相槌を打ち、●●●はまた、跳ねるようにして歩き出す。

「そうかもしれねーな、」

自然は自然。
あるがままが1番か。
……呟いてオレもフッと笑った。



それから30分ほど歩いた頃。


「座るか」

声を掛けると「もう?」と、●●●が振り返る。


「1周するんじゃなかったの?」
「お前はバカだな…」
「バ………?!」

●●●がキョトンと首を傾げる。

「1周したら、野郎のとこに戻っちまうだろ?」
「? それのどこがいけないの?」
「そしたら―― 2人っきりになれねーだろ?」

後頭部に腕を回して、ボソッと耳に囁いてやる。
突っ立つ顔が真っ赤に染まった。
……コイツはホントに、からかい甲斐のあるヤツだ。

肩を抱いて、近くの木陰に連れていく。
腰を下ろすよう促すと、●●●は木に背中を凭れ、両足を横に重ねて座った。
その太ももを枕に、おれは横に転がった。

「―― 船長?」

驚いたのか、きょとんと顔を見下ろす、●●●。
目を瞑ると呆れたか、ふふっと笑って、おれの髪を指で梳く。

心地イイ。

波の音を聞きながら、何度も髪に触れる手。
ふたりで過ごすこんな時間が、とても大事に思える。
のんびりするのも、イイな。

薄目を開けると海を見つめる●●●の目が、すとんと下に落とされた。

「?…寝ないんですか?」

不思議そうに覗きながら、オレの頬に優しく触れる。
下から見た表情と、柔らかく微笑むその顔に、ドキッとした。




「―― 脱げ」

上体を起こして、シャツのボタンに手を掛ける。

「…え」
「暑いだろ?ここなら肌も焼けねーし。折角の水着だ。おれにも見せろ」

野郎たちもいねーことだし、という嫉妬の言葉は、喉の奥にとどめておく。
肘で身体を支えたまま、ぷち、ぷち…と、いくつか外すと、気に入りの水着だからか
●●●自ら脱ぎ始めた。

目の前で露になる、たわわな胸と、滑らかな肌。
下から見える、綺麗なうなじ。

袖を抜こうとカラダを捩ると、白い首筋が露になり、たまらず俺は抱きついた。

「あんっ!…ちょっと…っ!」

驚く●●●を砂の上に押し倒し、剥ぎ取るようにシャツを脱がす。

「その気になった」
「……は?」
「エロい水着着てる、お前が悪い」
「ちょ…っ!」

頭を掻き抱き、白い首筋に唇を落とすと、ほのかに汗の味がした。

「しょっぺ…」
「だから……汗かいてるから、やだってばッッ!」
「お前の汗なら問題ねェ、」

膝の間に腰を割り入れ、上から腕を押さえ込む。
何か文句を言われる前に、素早く口を奪ってやった。

「ん、……!」

首の後ろを抱きかかえ、薄い唇を優しく吸う。
苦しいのか、立てた膝が砂を蹴るが…
気にしねえ。

何度も深く口付けながら互いの唾液を啜り合う。
腰の下に腕を回すと、●●●の身体がヒクっと揺れた。

「や…!こんなとこで…ほんとにヤダ!…それにエッチなら、ゆうべしたばっかり…!」
「ゆうべは、ゆうべだ。…オレは今すぐ、ここでしてェ…」

腕を掴んで、海パンの中に押し込んだ。
鎌首をもたげたオレのムスコに、●●●の細い、指が触れる。

「や……っ!」

途端。腕に、力が籠もる。
しかしおれは力を込めて、無理やりソレを握らせた。
その手に手を重ね、ゆっくり上下にしごかせる。

「…たまんね…」

ますます腰が疼いてくる。

「せん、ちょっ、何してっ!」

見下ろす●●●は涙目で、それすら俺を、その気にさせる材料だ。

「手ェ……動かしてろ、」

薄い口を吸いながら、水着の上から片手で胸をまさぐる。
コイツの気持ちいとこなんて。100も承知だ。

「はぅ…っ!」

張りのある胸を下から上に揉みあげながら、首筋からうなじにかけて
ゆっくり舌を這わせていく。
そうすれば水着の上からでも分かるほどに、かわいい乳首が勃ってくる。
それを布の上から
吸って、舐めて、甘噛みした。

「! や……っ!」

●●●は顔を横に逸らせ、身を捩る。
ちらりと見えた、細い紐。
これ幸い。首の後ろにある手で水着の紐を掴んだ瞬間。
今までにない力で、その手をぎゅ、と掴まれた。

「やめて……誰か来たら見られちゃう!」

潤む声で訴えられ、埋めた胸から顔を上げる。
振り返って辺りを見るが、見える範囲に、野郎たちの気配はない。
けど………アイツらの事。
いつ、邪魔しにくるか分かんねー。


「……きゃっ!」
「場所を変える」

起き上がったオレは、素早く●●●を肩に担ぎ、森の中に入っていった。







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