切ない夜






「あと二日で港につく」



昼食の最中。

船長が笑って、みんなにそう言い放つ。



すぐにハヤテとトワ君が、港で何を食べようかと、楽しそうに話し始めた。


ナギさんはメモを片手に食料庫へ行き

ソウシ先生は医薬品の確認にと、今、医務室へと降りていった。

シンさんは海図を開いて最終確認に余念がない。



そんなみんなを

私は笑って見つめる。





私ね


ほんとは港が嫌いなんだよ?






港につくと、眠る私のおでこに、ちゅ、と触れるだけのキスをして

静かに部屋を出ていく、船長。



知ってるんでしょ?


ホントは寝たふりだってこと。





そっと目を開け……娼館へ向かう彼の背中を

ベットの中から見送るわたし





やっぱり海賊なんて


好きになるんじゃなかった








海賊が集める様々な情報の大半は

世の男が、酒の席やベットの中で、女に自慢げにした話が多い


シリウス海賊団もまたしかりで……

お宝や海軍の情報などは、そんな話を、酒場や娼館の女達から仕入れてくるのが殆どだ。


時々シンさんやソウシ先生も駆り出される事はあるけれど。

賞金首の海賊にとって、寝首を掻かれやすい娼館は

可能な限り、船長が買って出ている。


そう、それは

クルーを危険に晒すことを、決して望まない彼だから。……なんだけど。




もし私が「行かないで?」 そう言ったら。 

彼はどんな顔をするだろうか?


私とみんなとの狭間の中で、きっと胸を痛めるんでしょうね…




『……分かってる』


だから…………言わない







淋しさで胸が張り裂けそうになるのを、ぎゅっと胸に閉じこめたまま

ニコニコと船で過ごす日々。



そして、眠れない日がいくつか過ぎると

ようやく船は港を出た










「……●●●」


娼館から戻った日。

ベッドから呼ぶ、彼に駆け寄る


「………」


きつく抱きしめられて聞く

あなたのこの鼓動の中で

このまま眠りに落ちていきたい



「顔を見せろ……」


呼ばれて目蓋を開けてみる。

そこには……私を見つめる彼の顔。


娼館から戻った日。

名前を呼んで、最初にする顔。


その顔が嫌いだって知ってた?




「ね、なんでそんな悲しそうな顔、するの?」


私の知らない他の誰かを…


この手で

このカラダで

抱いてきたあなたを…


全部、忘れてしまいたいのに…



この顔を見ると思い出す



そして、そんな私を見透かすように

また………すまなさそうな、顔をする彼。



あなたも苦しいんだよね……







「……船長……抱いて?」


これ以上彼を、困らせたくなくて

わたしは腕を、首に伸ばす。


「……●●●」

引き寄せると、彼は顔をうずめてきた。


「…ね、……もっと呼んで?」

「ああ。何度だって呼んでやる」



耳元で、甘く名前を囁く声。

同時に舌が、わたしの首筋を這い回る。


大きな手が胸に触れると

痛いくらいに揉みしだいた。



「……っ、」


いつもはもっと優しいのに…

仰け反りながらも、そんなことが頭をよぎる


「ん…っ」


噛み付くように口付けられると

舌を絡ませ、唾液を吸われ……もう、呼吸すら、ままならない。

その間も、両手が乳房を鷲掴み……その先端を

今度は歯を立てて、キツく吸われた。



「いっ……!」


思わず痛みで顔が歪む。

それでも、舌と指で弄ばれると

身体の熱が、沸き上がるのを感じる



「ね、……もっと…」



もっとあなたの存在を

痛いくらいに、感じたい

肌を吸う甘い痛みと、太ももを這う武骨な指に

私のソコから、とろっと蜜がシーツに落ちた。



「……指、……欲しいか?」


耳元で囁く、甘い声。


「……欲し、いっ!」


切羽詰って顔を上げると、彼は笑ってキスをくれる。

太ももを広げ軽く立てると、彼を求めてやまない場所に、太い指が、奥まで沈んだ。


「ああ…っ!」


動き出した2本の指が、クチュクチュと厭らしい音を立てる。


「っん……っ」

指を噛んでこらえてみても、つい声が漏れてしまう。



「…声、出せ…」

「……っ」

「……おれに聞かせろ」



激しさを増す指の動きに


「…っ、あああああ!!」


堰を切って声を上げた。


ずるいよ。

私の弱いとこ。

知ってるくせに。



「もっと感じろよ」

喘ぎながら薄く開けた視界の先に、満足そうな彼の顔。


「じゃぁ……もっとわたしを感じさせて…」


この日ばかりは、わたしも身体を少し起こし、貪欲に快楽を貪る。

膝を立て、足を広げて、彼にソコを見せつけた。


「こんなに濡らして、そんなに俺が欲しかったか?」


 ―― 当然でしょ?


船長の手が、

私の太ももを、大きく割った。


「んっ、……やぁっ!」


割れ目をこじ開け、じゅるじゅると愛液を味わう船長。
わたしは腰をくねらせた。


「おまえの蜜は……甘いな…」


膨れた肉芽を味わうように、ゆっくりと舌が這い回る。


「やあっ、…それっ…、…だめえっ…!!」


気持ちよくて、後ろ手でシーツをぎゅ、と掴む。


「何かダメだ?ここはますます濡れてきたぜ?」

「………っ、」


彼は、膨れた蕾を口に含み、中で舌を動かしている。


そこは触れただけでも、身体が震えてしまうというのに

上下に舌を動かされ、すぐにイってしまいそう。


「あっ…ねっ!…もっ…イッちゃうっ…!」


そう言いながらも彼の髪に指を差し込み

濡れるソコに彼の顔を押し付けた。


「はああっ……すご……」


腰を揺らして、突き出す舌を堪能する。


「ああ…。すげーやらしい顔だ…」

「ああぁ…ほん、と…イっちゃいそう…っ!!」


迫りくる絶頂感に、頭の中まで熱くなる。

彼はわたしの腰をしっかり抱え、伸ばした舌を出し入れしている。


「っはあっん、…せんちょう、それ、やぁっ!」


大きく腰がバウンドした。


「腰振って、お前はかわいいな、」

「…はぁああっだってえ……」

「こっち見ろよ」


下を向くと、唾液と愛液で、顎の下までベタベタにした船長が
太ももを上に軽く持ち上げ、じゅるっと蜜を啜り上げた。


「っああああー!」

核を指で弄りながら、舌を出し入れされ、うずくまる頭をぎゅっと掴む。


「っはああっ、いやんーー、」


押し寄せる快感に、立てた膝がガクガク震える。


「そろそろイかせてやろうな?」

「……!」


 ――あ、と、思ったその瞬間。

舌が抜かれ、代わりに指が、奥深くに沈んだ。


「…ンッ・・・それ・・・っ、やぁ――!!」


ナカを擦られ、ちゅうーーっと蕾を吸いだされ

わたしはシーツを、ぎゅ、と握る。

瞬間。背中が仰け反り、弾けるように白くなった。


 ―― はぁ、と荒い息をつく。



「イ、ったか?」


震える身体で閉じていた目を薄っすら開ける。


「も、ずるい……」

「ずるいか?……何でだ?」


そこには、満足そうに笑う顔。

そう、この顔。―― わたしが好きな船長の顔。



「私が弱の…知ってるくせに」


ちょっと意地悪で、色っぽくて。



この顔を見ると

部屋を出ていく、あの背中も…

膝を抱えて眠った夜も

みんな、みんな、忘れられる



「お前の事なら、なんでも分かっちまうからな?」


彼がまた、ふ、と笑う。

その言葉が嬉しくて

でも私は、ちょっと膨れた顔をして、彼の首に腕を伸ばした。



「もぉ……」


 ―― 船長……、好き

回した腕を、ぐ、と引き寄せ、耳に息を吹きかける。


「・・・・俺も、だ」


彼も耳を甘噛みしながら、わたしにそう、囁いてくれる。

そうしながら足の間に身体を割りいれ、彼がナカに入ってきた。


「―――― っ!」


熱い熱の塊が、私の中を、貫いていく。

全部呑むと、彼は腰を揺らし始めた。


最初は浅く、徐々に深く。


「いいか?」

「はあぁんっ・・・そこ・・・っ!」

「ここだろ?」


耳に息を吹きかけながら、彼がナカを掻き回す。


「もっとぉ……」

「おー…。こうか?」

「んっ……、そうっ…!」


わたしも腰をくねくね動かし、彼の動きに合わせる。


「せん…ちょ……いい…よ…」


わたしの声に彼は笑って……顔の横に手をついた。

より挿入が深くなる。


「そんなに締めて、お前の中は、たまんねーな…」

「んぅっ……そんなこと……」

「………。……おれは…」


不意に彼が、眉根を下げ、私を見下ろす。

だけどわたしは、言いかけた言葉を遮るように、彼の首に腕を伸ばす。


その先に続く言葉が、言い訳なのか、慰めなのか。

愛の言葉かもしれないけれど――


今はそんな言葉を

言わせたいわけでも

聞きたいわけでも、ない。


それより今は――

こうしてここに居てくれる。―― それを身体で、感じたいだけ。



「ね…」


だからわたしは、彼の耳に唇を寄せ、囁くの。



「もっと…奥まで…」


顔を離すと、彼は一瞬、言葉を詰まらせ。


「ああ…くれてやる、……いくらでも、な、」


いつものように、ふ、と笑って、腰の動きを更に早めた。


「あああ……っ!」


恥ずかしいくらいに脚を開かれ

結合部が、ぐちゃぐちゃと激しくぶつかり合う。


「●●●……っ!…いい…か…?」

「あんっっ……、いいっーー!」

「ほらっ、……来い!」


ガンガン腰を打ち付けながら、腕を掴んでわたしを起こし、彼は深く口づける。

部屋の中には、肉と肉がぶつかる音と。

ベットがギシギシ、軋む音。


「く……」


彼が吐き出す吐息にすら、わたしはもう、感じてしまって。


「あぁっ…!もっと!!」


彼の足に跨る格好で貫かれ、しがみついて声を上げる。

彼が、痛いくらいに私を抱きしめ、深く深く、口付ける。


「……、…●●●……っ」


腰と腰を密着させ、切なく名を呼ぶ彼の声。

そこに、あなたの寂しさを感じて

わたしは喜びに震えてしまう。


「ああっ、…せんちょっ…!!」

「……っ!!」



 離さないで

 

 お願い――



もう一度ベットに寝かされ、わたしの1番弱いところをいっそう激しく打ちつけられた。

何度も奥を貫かれ、ひたすら下で喘ぎ続ける。


だけどそれも、限界みたい――



「っ…せんちょ…もうっ…!!」

「ああ、わかった…」


震え始めた私の身体を彼は胸に強く抱き寄せ、激しく腰を打ちつける。

ぐ、と奥を突かれた瞬間、


「イ、けッッ!!!」

「――――――ッ!!!」


彼の背中にしがみつき、声にならない声を上げ、直後カラダを弛緩させた。

そんな私を満足そうに見つめると

彼も、何度か激しく腰をぶつけ、一瞬切ない顔をして


わたしの中に熱を放った。






横になると、胸に寄り添い、あなたの早い鼓動を聞く。


顔を上げると、やさしく微笑む彼の顔。




ああ。


やっぱり海賊なんて

好きになるんじゃなかった





幸せすぎて


また港につく日が、怖くなる







ねぇ……

知ってた?



ひとりで眠るこのベットは

わたしにはあまりにも大きくて

とっても悲しくなるんだよ?




それでも私はニコリと笑って、彼の胸に頬を寄せる。



だってあなたが…好きだから




暫くはまた、狭く感じるこのベットで

あなたに身を寄せ眠りにつける、この喜びを感じていよう




あなたを、キライになれる、その日まで

この甘い眠りと独りの夜を

そっと胸に閉じこめて






end

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