第2話







「おォー…い、お前らッ!降りてこいッ!」


しばらくして波止場に全員が集められると
すぐにリュウガの指示が飛ぶ。


「…んじゃあシン。お前は船大工を手配しろ」


シンが頷くのを確認してから、ハヤテとトワに視線を移す。


「お前らは引き続き、船内の片づけだ」
「了解っす!」
「わかりました、船長、」


ふんふんと頷くリュウガは、ナギと●●●に視線を移す。



「お前ら2人は買い出しだ。●●●、街を堪能してこいッ!」
「はいっ!ありがとうございます、船長!」
「んじゃナギ。コイツを頼むな?」
「了解っす、」


その間も、街を眺めて嬉しそうにしている、●●●。
リュウガはフッと口を緩めて、隣のソウシに視線を向けた。


「で…ソウシお前は……」
「私は薬草でも見てきますよ。医務室も滅茶苦茶になってしまいましたし…」
「ん、そうか。…なら、そうしてくれ、」


ぽんぽんと肩を叩くリュウガの顔を、じと、とした目でソウシが見つめた。


「なんだよ」
「ところで船長。あなたはどうされるんです?」
「は?おれか?」


とたんリュウガは、どこか気まずそうに目を逸らす。
バツが悪そうに頭を掻いた。


「おれは偵察があるんだよ…」


ぼそっと彼が言う偵察とは、もちろん酒場だ。
分かっていた事とはいえ、ソウシは浅く息をつく。


「あなたって人は。…船がこの状態なんですから、くれぐれも無駄遣いはしないでくださいよ?」


溜め息交じりに釘をさされ、『はいはい、わかってるよ』と、小さな声で呟くのだった。



それからクルー達は、四方へと散らばっていった。





     *




街に出れば言葉通り、地上の楽園そのもので。

あちらこちらに花が咲き、市場は活気に満ちている。

出会う人も親切で、●●●は踊る気持ちを隠せずにいた。




「ナギさん。素敵な町ですね?」
「ああ…そうだな、」
「このままずっと居たいくらい♪」


跳ねるようにして歩く●●●を、ナギは笑って見つめる。
暫く歩いて、数軒の店で買い出しを済ませた頃。
ふとブルーの旗が目についた。


「お祭りでもあるんでしょうか?」


つられてナギも、旗を見る。
そういえばと、思い出した。


「そういやァー…戴冠式が近々ある、つって、店のオヤジが言ってたな」
「戴冠式ですか?…ヘェ〜〜この国の王様になれるなんて、羨ましいですね?」
「そうか?…おれは籠の鳥に興味はねぇけどな?」


チラリとナギが横を見る。
●●●は、こんな素敵な国の王様になる人って、どんな人だろう?と。考えながら歩いていた。







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