露天風呂 (ロイversion) | ナノ
第2話
「今日の宿はここだ!」
目の前には、ひときわ目を引く大きな旅館。
先頭を行くリュウガの後ろに、クルー達が順に続く。
「ヒャッホォ―!俺サウナに入るぜ。なあ、トワも来いよ」
「はいっ!お供します、ハヤテさん、」
はしゃぐハヤテとトワを横目に見て、リュウガが不意に振り向いた。
「なあ、誰か露天でいっぱいやらねえか?」
片手でお猪口を持つ、仕草をする。
「良いですね、船長」
「喜んでお供しますよ、」
シンとソウシの返事を聞いて、彼はまた、上機嫌で歩きだす。
ナギはその後ろを歩きながら、旅館の料理がどんなものかと、考えながら歩いていた。
「ふふ……」
(みんな、はしゃいで楽しそう…)
1番後ろを歩くは●●●は、ひとり笑みを漏らした。
「なァ……」
少し歩いて、不意にハヤテが声を上げた。
「あれってリカーじゃねーの?」
クルー達も、後ろを向く。
そこには黒い船体。リカー号が停泊していた。
「ちぇっ。…ヤツらもここに来てやがったか」
なんでこうも毎度毎度タイミングよく、現れるんだか。
リュウガが面倒臭そうに息をつく。
「まさかこんな所でリカーに会うとは」
ソウシも「やれやれ」と頭を掻いて、●●●の肩に手を置いた。
「そういうことだから、いいかい●●●ちゃん、」
「はい」
「ロイ船長には気をつけるんだよ?」
●●●がコクンと頷くと、シンが不適に笑った。
「? なんですかシンさん」
「ロイが心配なら…一緒に入ってやろうか?」
「入る?」
「………風呂だ」
カッ、と顔が熱くなって、「結構です」とシンの顔を睨みつける。
…と、いきなり肩を抱き寄せられた。
「そりゃ―ダメだぜシン。コイツはオレと入るんだからよ」
「は?そんなこと、ひと言も!!」
振り返るとそれはリュウガで、肩を抱く手を振りほどこうと手を伸ばす。
瞬間「イテテ」と離れていった。
「コラコラ2人とも。その辺にしておかないか。●●●ちゃんが困ってるだろ?」
見ればソウシが掴んでいて、ニコリと顔は笑っているのに、リュウガの手首は、明らかにおかしな方を向いている。
シンが唾を呑んで、●●●からすっと距離をとる。
「たく、わーったから。…頼むソウシ!その手を離せ!」
「ソウシ先生、もうその辺で!!」
「そうかい?」
腕に縋ると、ようやく手が離された。
リュウガはぶつくさと文句を言って、●●●の頭に手を置いた。
「つーことで、一緒に入るのは次の機会として。…くれぐれもロイには気をつけろよ?」
しつこいくらいに念を押され、●●●がコクコクと頷く。
それを見届けクルー達は、ようやく旅館に入っていった。
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