七色十色 | ナノ
第3話 






ザザァァァァァーーーーーーー


「ヒャァーー!ス、ッゲエ雨ッ!」

雨は瞬く間にどりゃぶりとなり、目を開けるのも困難なほど。


「レナさん、ぬかるんでますから気をつけて下さいねッッ!」
「…ッッうん、ありがと!」

降りしきる雨音に混じって、7人の足音がパチャパチャ響く。
降り始めてものの3分も経たないうちに
地面はまるで川のようだ。
斜面を流れる山水で、足元さえ、よく見えない。


「レナちゃん危ないッッ!!」
「――え?!!」

必死で走るレナの手を、ソウシが後ろから、グッと引く。

ガサッと崩れる足元。

雨と草木でよく見えないそこは、急激な斜面になっていた。


「端は危ないから、できるだけ真ん中を走るんだ!」
「ッッはい、すいません!」

走りながらお礼を言う。
その手をナギが横から引いた。

「こっちに来てろ!」
「……ッッナギさん!」

足を取られるレナの息は荒く、髪や顎から雨が滴り落ちている。

「こいつを使え、」

見かねたナギがバンダナを取って、レナの手に握らせた。

「え」

受け取ったそれはびしょ濡れで
けれどないよりはましだった。

「ありがとうございます、ナギさん!!」
「ああ、…って。……おまっ!!」

急に顔を赤くして、ナギはそっぽを向いてしまう。

「あの……ナギさん?」
「おまっ!今すぐ船長とこに行けッ!」
「……へ?!」
「おいシン、コイツを前に連れてけッ!」
「……きゃっ!」

いきなり背中をトンと押され、思わず前につんのめる。
振り向くシンが、足を止めて抱き止めた。


「………っ、」

しがみついた胸から恐る恐る顔を上げる。
だけどシンは笑うだけで、抱き込んだまま離してくれない。

「シンさん、もう平気です…」
「おいシン、離せ!」
「なに言ってんだ。 お前が突き飛ばしたろ、」
「―― てめっ…分かってて……」

急に、言い争いを始めた2人に、どうしていいか分からない。

「こら、シン、ナギ……何をしてるんだ!」

そこに駆けつけたソウシを始め、トワとハヤテが、2人の間に割って入る。

「大丈夫かい?レナちゃん…」

そして振り向いた3人もナギ同様。顔を赤に染めあげた。


「おいお前ら……そこで何やってんだ?!!」

ようやく異変に気づいたらしいリュウガが、何事が起きたかと、戻ってくる。
どしゃぶりの中、レナを見て、リュウガはブッ…と吹き出した。


「ほォー…今日は水色か?」
「………みず、色?!」

自分を見て笑っているけど、何のことだか分からない。
それでも視線を辿って行って――

「な、」

ば、っと胸を両手で抱えた。
そこには、白いシャツが素肌に張り付き、谷間までもがハッキリ透けて見えている。

「もぅ、やだっ!」

これをみんなに見られていたのかっ!
気づいた途端、恥ずかしくて、顔から火を吹きそうだ!
いたたまれずリュウガに向け、ダッ、と駆け出すレナのカラダが、突然グラッと傾いた。


「えっ?!!」

慌てたせいでぬかるんだ足元が、崩れたのだ。

「…っレナッッ!!」

ズルッと滑るレナの手を、咄嗟にリュウガが片手で掴む。
ほっとしたのも束の間。
リュウガの足元までもが、ガサッと崩れた。


「……なっ!」
「え……?!」


きゃあああああああ!!!
斜面を滑り落ちていく、リュウガとレナ。
2人のカラダを小さな枝が、何度となく打ちつける。

「船長ォォォォーー!」
「レナッッーー!」
「く……!」

リュウガはレナを胸に抱き込み、ぬかるむ斜面を滑っていく。
しばらく行って辿り着いた平らな処でドスンとカラダを打ち付けられた。


「おい、レナ、大丈夫か?!!」

泥だらけのリュウガが覆い被さるカラダを起こす。

レナは足を押さえて顔をしかめた。









 
   






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