危うい天使 | ナノ
第4話 






「俺らスゲー…ラッキーかもな?」
「ラッキー?……なんでさ?」

背後の男の問い掛けに、男が口を吊りあげた。


「だってコイツ。すげえイイ女だぜ?」

にや、と笑うその顔に、頬が引きつるのを感じる。
背後から、歓喜の声が響いた。

「うそ?マジで?!」

無遠慮な手が顎を掴んで、顔を後ろに振り向かせる。
男が顔を覗かせた。


「うおっ、ホントだ♪……コイツすげーいいオンナじゃん♪」
「ああ、…あんなガキより、よっぽどイイ、」


掴まれた顎がギリリと痛い。
●●●の顔が、苦痛で歪む。


「……んじゃコッチはどうなってんだ?」
「え、」

…と、男の両手が襟を掴んだその瞬間。

ビリリッッッッ!!!!!

シャツが左右に引き裂かれた。


「いやああッッ!!!!」

千切れたボタンが岩の隙間に転がっていく。
大声をあげ抵抗するけど
背後の男に腕の動きを封じられ、隠すことすら、できない。
男の手が、ほんの一瞬、離れたかと思うと
下着を掴んで大きく上にずりあげた

「…!…っきゃっ、!!!」
「やべ、コイツ。すげーそそられるおっぱいなんだけど♪」

プルン、と零れた乳房を眺めて
2人がヒューと口笛を吹く。
胸の先端が恐怖で震えた。


「コイツ顔だけじゃなく…カラダもすげえじゃん♪
…おれ…もう、我慢できねえ♪」
「ああ。相当高く売れるだろうな?……ただし……」

俺たちで楽しんだあとでな……

男が、じり、とカラダを寄せてくる。
アイコンタクトを送り合うと、背後の男が両手で胸を鷲掴んだ。

「い…や……!」

反射的に振り向く顎を、向かいの男が片手で捕らえる。

「……顔はこっちだ、」

瞬間、口に貪りついた。

「!」

切れた口を割開き、ぬめる舌が入ってくる。
手が髪を撫で回し、唾液が口に流れ込む。


「ん、…や!」
「すっげー…やらかいおっぱい♪」

後ろからは男が乳房を揉みしだき、2人がカラダを寄せてくる。
りュウガのそれとは全く違う、ぬつるく舌の感触に、吐き気がする。

「ぅ、く……」

男の顔を引き剥がそうと必死で手を伸ばすけれど
男はさらに顔を押し当て、ぬるつく舌を絡ませてくる。

「うわああああっ!エッロォ〜〜」

背後の男が、下から胸を揉みながら、絡み合う舌を覗き込む。

「んんん、いやあっ…!」

●●●は血だらけの手で男の頬を両手で掴み、引き剥がそうと必死でもがく。
苦し紛れに、思いっきり唇に噛みついた。


「…い……ッッ!!!」

ガンンンンッッ!!
離れぎわ、男の拳が、思いっきり頬を殴りつけ。
その衝撃でまた、唇の端から血が流れる。

それでも歯を食いしばり、睨みつければ…
男は腕で口を拭う。


「やべえ……すげえ興奮するな…」

頬を血で赤く染めた男が、切れた唇をペロッと舐める。
その顔は…ケモノ。
背筋がゾォーーっと凍りつく。


「…!!…いやあああああ!!!」
「嫌じゃねえ!!おいッ、しつかり腕、抑えとけ、」
「…ンッッ、く……」

男がまた、口に吸いつき、手がカラダのラインを撫でて行く。
開きっぱなしの唇からは…どちらのものとも分からない唾が、つー…と首に流れていく。

手がスカートの中に挿し込まれ、下着の横から男の指が入った瞬間、
●●●の目が、カッと大きく見開かれた




      ※




その頃逃げた少女達は…必死で海岸を走っていた。

「だれかっ!…だれか助けて…」

息を切らせ港につくと、そこに居た男たちに助けを求めた。

「お願い……誰か…来てッッ…!」
「私たちを助けてくれたお姉さんが……」

2人は震える指先で、岩場の方を指差す。


「●●●はどこだ!」

幸い少女たちが助けを求めたのは、まさにシリウスのクルー達で。
直ぐにシンが、●●●が居た海岸を見回した。

「アイツなら海岸に……」
「そんな事は知っている…」

だが、どんなに辺りを探してみても、●●●の姿はどこにもない。


「まさか…アイツ…」
「ああ、…●●●ちゃんに間違いないだろう…」

ナギとソウシの言葉を合図に、クルー全員が岩場に向かって駆け出す。

「たく……なんでアイツは俺達に声をかけないんだッッ!」

シンは、すぐそこに居た●●●の姿を思い出して、ギリ…と奥歯を歯噛みした。








 
   






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