「ねえ、パパ」
「ん?まだ起きてたのか?」
銀時は自分を呼ぶまだ幼い娘の元へ行き、頭を撫でてやった。
「だって、寝れないんだもん。あたし、パパとママが出会ったときのお話が聞きたいなぁ」
「はあ?」
「今日ね、友達がね、パパとママは素敵なれんあいをしたから今のあたし達がいるんだよって言ってたよ」
最近のガキはませてるなぁオイ。思いつつ、娘を再び布団に寝かす。その隣に座り込み、昔のことに思いを馳せた。
「俺とママの出会い、か……。ママは、江戸の茶屋で働いてたんだ。俺が用事があって、たまたま入った茶屋にいたんだよ。その時はママはまだ十代だったかな」
「ふーん、ママはその時からきれいだった?」
「そりゃあ綺麗だったよ。いっつもお客さんに囲まれてて、俺の近づく隙なんてなかった」
「じゃあ、いつれんあいしたの?」
「あー恋愛ねぇ……ママが悪いお客さんに絡まれてる時、」
「助けてあげたの?」
「当たり前だろ。俺はママのこと好きだったしな。もうね、俺の拳が火を噴いたね」
「すごーい!それで、どうなったの?」
「ママも俺に惚れちゃってさ、つきあうことになりましたとさ」
「ほうほう」
「ほら、もう話はおしまいだ。早く寝なさい」
「はーい、おやすみ、パパ」
「おやすみ」
最後に可愛いデコにちゅーしてやったらくすぐったいって言われた。襖を閉めて部屋に戻ると風呂から上がったママがいた。
「なんの話してたの?」
ママが楽しそうに聞いてくる。
「俺とお前が出会った時の話」
やだ、恥ずかしい。照れた顔は、あの頃の少女の面影を残していた。
お話はここまで
いつまで経っても変わらない気持ちを持っている。
(100731)
JOYFES様に提出。
なんか、もう、ふがいないです。坂田にママって言わせたかっただけなんです。平謝りしたいです。