エイリア学園。
最近巷では"宇宙人だ"と有名になっているが、
生憎様の嘘だ。

私も一応エイリアの人間。
孤児院にいたからまあ当然と言えば当然の話。
ただ残念なことにセカンドランク、
しかもジェミニでもイプシロンでもないから顔が知れることもない。
マスターランクにいるガゼルや、バーンや、グランとは仲が良かった。
つもりなだけかもしれないけれど、私はそう思っている。

できることなら、彼らと共にサッカーをしたかった。
私は自分でも固有能力は低いと自覚している。
運動神経が良いわけでも、頭が良いわけでもない。
ましてや性格なんてもっての他。
だけど彼らのことは大好きだった。
一緒のグラウンドで走りたかった。
一緒のユニフォームを着たかった。
一緒にご飯も食べたいし、
何より一緒のチームに入りたかった。
まあ、私が望めるようなことではない。

ふと空を見上げると、そこは濃紺に染まっている。
「綺麗、だね。」
誰に言うわけでもなかったけれど、小さく呟いた。
もしも空を飛べたなら、飛べる存在だったなら。
鳥になったとしたら。
きっと彼らは美しい白羽をもった白鳥で、
私は薄汚く濁った白羽をもったアヒルなのだろう。
それはきっといつまでも変わることなく続き、
その間私はずっと1人仲間はずれなのだ。

「会いたい、なあ。」
何ヶ月どころではなく、何年も話していない彼らに。
ましてやガゼルには幼いながらに恋心を覚えていたから、尚更。
「私も会いたかったよ、」
懐かしい声と共に身体に温かい人のぬくもりが伝わる。
「ガゼル、様。」
「その名では呼ばないで。君には本名で呼ばれたい。」
「…風介?」
「うん。」
無意識に流れ出る涙をおもわずごしごしと拭っていると彼が笑った。
「迎えに来たよ、名前。」
「ずっとこうしていたかった。」
「名前に名前を呼ばれたかった、」

「会いたかった。」
その言葉に思い切り頷いた後、彼の首に腕を回す。
「ふふふ、綺麗になったね。」
「そんなこと、ない。」
「いや、自覚していないだけだ。」
「ばあか、」

私も君に、会いたかった。


私だけ白鳥になれないまま、置いて行かれると思っていた。


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